アマミトゲネズミを救え シイの実拾い、飼育園へ 奄美市笠利町

アマミトゲネズミを飼育する動物園へ送るため、シイの実を拾い集める参加者=15日、奄美市笠利町の蒲生崎観光公園

アマミトゲネズミを飼育する動物園へ送るため、シイの実を拾い集める参加者=15日、奄美市笠利町の蒲生崎観光公園

 奄美大島にしか生息しない国の天然記念物・アマミトゲネズミを絶滅の危機から救おうと、餌となるシイの実を拾うイベントが15日、奄美市笠利町の山林にある蒲生崎観光公園で行われた。集めたシイの実はアマミトゲネズミの飼育繁殖に取り組む本土の動物園へ届けられる。

 

 アマミトゲネズミは成獣の体長が約9~16センチ。背面は主に黄褐色で、全身に2センチほどのとげ状の毛がある。環境省のレッドリストで絶滅危惧ⅠB類に指定されているが、近年、天敵である外来種・マングースの駆除が進み、個体数は回復傾向にある。

 

 2017年以降、環境省と本土の動物園3施設が生息域外保全事業に取り組み、18年に宮崎市フェニックス自然動物園、19年に埼玉県子ども動物公園が飼育下での繁殖に成功。シイの実が繁殖のトリガー(きっかけ)として有効とみられている。

 

 シイの実を拾うイベントは環境省の「国立・国定公園への誘客の推進事業」の一環で、奄美自然学校(永江直志代表、奄美市名瀬)が主催。同校や環境省奄美野生生物保護センター、近隣集落などから約70人が参加した。

 

 作業に先立ち、同センター自然保護官補佐の晝間さよこさん(27)がアマミトゲネズミの生態や奄美大島の自然環境について講話。「シイの実はさまざまな生き物の大切な食料であり、それが今、奄美の森にどのくらいあるかを感じながら探してほしい」と伝えた。

 

 公園周辺の自然環境に配慮して拾う範囲を道路上などに限り、1時間ほどの作業で約4・8キロ分を拾い集めた。作業後、集めた実が水に沈むか(中身が詰まっているか)否かを確認。765グラム分を動物園へ送ることとし、残りは付近の山林に返した。

 

 永江代表(53)は作業を振り返り「すでに中身を食べられた実がほとんどだったが、集めた実はきっとアマミトゲネズミの繁殖につながる。今後も取り組みを継続していきたい」と語った。

 参加者が集め、動物園へ送られるシイの実=15日、奄美市笠利町の蒲生崎観光公園

参加者が集め、動物園へ送られるシイの実=15日、奄美市笠利町の蒲生崎観光公園