イジュ花粉食べるヘビトンボ発見 熊大チーム、奄美大島固有種で確認

①	イジュの花粉を付けたアマミモンヘビトンボ(杉浦直人氏提供)

① イジュの花粉を付けたアマミモンヘビトンボ(杉浦直人氏提供)

 熊本大学などの研究チームは10日、奄美大島固有の昆虫アマミモンヘビトンボの調査から、ヘビトンボ類の中で花粉を摂取する種類がいることを初めて明らかにしたと発表した。奄美大島以南に分布するツバキ科の植物イジュの花粉を食べていた。研究チームは「謎の多い夜行性のヘビトンボの暮らしぶりの一端が明らかになった」としている。

 

 熊本大学大学院の杉浦直人准教授と玉川大学大学院の宮崎智史准教授が、日本昆虫学会の学術誌「Entomological Science」のオンライン版で8日に発表した。

 

 アマミモンヘビトンボはヘビトンボ科モンヘビトンボ属の昆虫。体長1・6~3センチ、羽の長さ2・9~3・6センチ。白っぽい羽に黒い斑紋がある。ヘビトンボ科の幼虫は「孫太郎虫」と呼ばれ、子どもの疳(かん)に効く民間薬として知られる。水生の幼虫に対して、陸生の成虫は夜行性で食性などの生態はよく分かっていないことが多いという。

 

 杉浦准教授らは奄美大島南部の川辺で2018年7月から20年7月にかけて、アマミモンヘビトンボの生態調査を実施。採取した成虫の頭や胸、脚などにイジュの黄色い花粉が付いているのを確認。ふんを調べたところ、約8割の個体でイジュの花粉が含まれており、花粉を摂取していることが分かった。イジュの花を訪れ、おしべに頭を突っ込んでいる様子も見られた。

 

 イジュの花粉を媒介するのは、主に昼間に活動するアマミクマバチと考えられていた。研究チームはアマミモンヘビトンボが花粉を媒介している可能性があると考察。「水生昆虫の成虫が花粉の媒介者として機能するという報告はほとんどない。アマミモンヘビトンボが花粉を媒介していると実証できれば、水域と陸域の生態系のつながりを示す興味深い共生関係の事例となる」としている。

 

 研究成果について杉浦准教授は「世界自然遺産候補地の奄美大島の生物多様性が持つ価値の大きさをあらためて認識させる事例。奄美の自然の素晴らしさを伝え、保全に役立つ研究に取り組みたい」と述べた。