ウミガメ産卵 3年ぶり増加 奄美大島

奄美大島のウミガメ産卵状況(奄美海洋生物研究会調査)

奄美大島のウミガメ産卵状況(奄美海洋生物研究会調査)

  奄美海洋生物研究会(興克樹会長)はこのほど、奄美大島のウミガメの上陸・産卵などに関する2020年の調査結果をまとめた。産卵回数は546回と過去最少だった前年(293回)を大幅に上回り、3年ぶりに増加に転じた。リュウキュウイノシシによるウミガメの卵の食害も124件と前年(47件)を上回った。多くの浜で被害が繰り返し発生していることから、同研究会は「(イノシシによる)採食が恒常化した浜では、保護対策の強化が必要」と指摘した。

 

 20年のウミガメの上陸、産卵は4~9月に確認された。産卵回数は前年より増加したものの、最多だった12年(1081回)の約半数にとどまる。種類別ではアカウミガメ111回(前年116回)、アオウミガメ335回(同166回)、不明100回(同11回)。

 

 特に顕著な減少傾向が続くアカウミガメは、調査を開始した12年以降で最少となった。同研究会は東シナ海で活発化する漁業活動による餌の減少や混獲、中国での大規模な密漁などの影響に懸念を示した。

 

 リュウキュウイノシシによる卵の食害は、3市町村の8カ所で確認された。地区別では、瀬戸内町請島のケラジ地区42件、与路島アシニ地区41件が特に多い。ケラジ地区を含む請島の3カ所では12年以降、毎年ほぼ全ての産卵巣で食害が発生している。全産卵巣に占める卵の食害は22・7%と前年を6・7上回った。

 

 同研究会は食害が多発する要因について、「近年頻発する豪雨や大型台風の高波による浸食で、産卵巣の卵が露出、流失し、イノシシが偶発的に卵を発見する機会が多くなった。学習した個体群が採食を繰り返し、恒常化するようになった」と考察した。