クロウサギ研究飼育施設整備へ 大和村

マミノクロウサギ研究飼育施設の建設予定地=7日、大和村思勝

マミノクロウサギ研究飼育施設の建設予定地=7日、大和村思勝

 大和村は交通事故や他の動物によってケガをしたアマミノクロウサギを保護し、治療とリハビリを行う研究飼育施設を同村思勝に設置する。自然観察のルールやマナーを学べる教育研究機能や、一般客が生体を見学できる展示機能も備える計画で、施設を活用した交流人口の拡大にも期待を寄せる。

 

 村は2017年に環境省、獣医師ら有識者を交えたアマミノクロウサギ研究飼育施設(仮称)設置に向けた準備検討委員会を設立し、協議を重ねてきた。今年10月に施設の設置・運営に関する基本計画を策定。7日に開会した村議会定例会に、関連経費として実施設計費と地質調査費計5580万円を含む20年度一般会計補正予算(第5号)を提案し、可決された。

 

 国の特別天然記念物で奄美大島と徳之島にだけ生息するアマミノクロウサギは、ケガをした場合、島内の動物病院で一時的に保護され、治療を受ける。ただ長期の治療、リハビリが必要な個体については受け入れる施設は島内になく、鹿児島市の平川動物公園が15年から個体を受け入れて野生への復帰を目指して飼育している。

 

 このため、村が整備する施設では、ケガをした個体を保護して地元獣医師が往診し、関係機関と連携しながら可能な限り野生に帰すための治療とリハビリ、飼育を行う。

 

 また、①タンカンなど農作物への食害も増える中、アマミノクロウサギと共存する社会に向けた飼育下での基礎研究②ナイトツアーなど夜間の森林への入り込み者を、施設に誘導することで自然環境下の個体への影響を減らす③地元の子どもたちの環境教育│などを目指す。

 

 村企画観光課によると、施設は鉄筋コンクリート平屋建て(約700平方㍍)。環境省奄美野生生物保護センターがある「まほろば水と森公園」(村有地)の一角に設置。同センターと連携し、奄美大島の自然環境の研究者支援も行う。公園内に遊歩道も設け、両施設への誘客性を高める。

 

 施設の本体工事は22年度着手し、約2年かけて完成させ、24年度初旬のオープンを目指す。総事業費は約5億円。奄振交付金を活用する。

 

 生体の展示は、ケガをして野生への復帰が望めず、人に見られることのストレスをあまり感じない個体に限定する。そのため施設オープン時に展示できる個体がいない場合も想定されるが、同課担当者は「それがクロウサギにとっては一番望ましい状態。生体がいなくても、十分に楽しめる体験型の展示室を設けたい」としている。

 

 村内では村立大和小・中学校が1963~92年にアマミノクロウサギを飼育していた。

国の特別天然記念物アマミノクロウサギ(資料写真)

国の特別天然記念物アマミノクロウサギ(資料写真)