シラオネッタイチョウ、野生復帰へ再訓練

海に放され水浴びするシラオネッタイチョウ

海に放され水浴びするシラオネッタイチョウ

 奄美大島で9月下旬にけがをした状態で見つかり、保護された熱帯域の海鳥シラオネッタイチョウの回復に伴い、治療を行った獣医師らが30日、海への放鳥を試みた。海に浮かべると水浴びをしたりしていたが飛び立つ様子はなく、溺れそうになったため再び保護された。今後は経過を見ながら泳ぐ訓練を行い、野生復帰を目指す。

 

 シラオネッタイチョウは熱帯の海域に広く分布。全長約80センチ。成鳥は体が白く翼に黒い帯状の模様がある。白く長い尾が特徴。国内で繁殖地はなく、夏に迷鳥として小笠原諸島や硫黄列島、南鳥島、八重山諸島などに飛来する。奄美への飛来が確認されたのは初めて。

 

 保護された個体は9月24日、龍郷町秋名の県道で動けなくなっているのを住民が見つけた。連絡を受けた県大島支庁の職員が引き取り、奄美市名瀬のゆいの島どうぶつ病院に運んだ。

 

 同病院の獣医師が診察したところ、左胸付近を骨折していたため、翼を固定して治療を行った。約3週間後の10月中旬には骨折が完治して屋外で飛ぶことができるようになり、飛行訓練を重ねて放鳥を決めた。保護した当時210グラムだった体重は240グラムに増えた。

 

 放鳥は30日午前7時ごろ、龍郷町龍郷の龍郷漁港番屋地区で行われた。環境省や県大島支庁の職員らが見守る中、獣医師がネッタイチョウを海に放すと、翼を広げて水浴びを繰り返していたが、次第に動かなくなった。約1時間後、ダイビング船の協力で岸壁から約200メートル離れた湾内で再び保護した。

 

再び保護された個体=30日、龍郷町

再び保護された個体=30日、龍郷町

 獣医師によると、鳥は尾羽の根元にある尾脂腺から出る油によって水から体を守っている。保護された個体はストレスによって油を羽に塗るための羽繕いが十分にできず、水にぬれて溺れたとみられる。

 

 獣医師は「非常に残念だ。今後は泳げるように飼育方法を改善して、南の島に一刻も早く帰れるようにしたい。不可能であれば動物園での展示も考える」と述べた。