世界遺産再挑戦に安堵や喜びの声 課題解決へ注文も

政府が世界自然遺産登録への再推薦を決定した奄美・沖縄の森=2017年9月、奄美大島

政府が世界自然遺産登録への再推薦を決定した奄美・沖縄の森=2017年9月、奄美大島

 政府が2020年を目指して「奄美大島、徳之島、沖縄島北部および西表島」の世界自然遺産登録への再推薦を決定した2日、奄美では登録の可能性があらためて示されたことへの安堵(あんど)や喜びの声が聞かれた。自然保護や観光、経済の分野では遺産登録実現に向けた住民の自然保護意識の醸成や、地域活性化など多面的な効果に期待。一方、国際自然保護連合(IUCN)による今年5月の登録延期勧告を受けて政府が推薦をいったん取り下げた経緯も踏まえ、残された課題への対応などで慎重かつ迅速な取り組みを求める声もあった。

 

 環境省自然公園指導員の常田守さん(65)は「奄美の自然を守る仕組みが整いつつある中で、遺産登録への再推薦決定には感謝するばかり」と喜びの声。同時に「地元の人々が島の自然を学び、守っていくことへの意識を高めていかなくてはならない。国や自治体に頼るばかりでなく、自発的な行動が必要だ」と語った。

 

 徳之島で自然保護の普及啓発活動に取り組むNPO法人「徳之島虹の会」の美延睦美事務局長(55)も「今回推薦が見送られたら、せっかく高まっていた自然環境保護に対する住民意識も大きく後退していたはず」と述べ、政府の推薦決定に安堵の表情。「推薦決定は地域の連帯感醸成も後押ししてくれるのでは」と話した。

 

 奄美大島商工会議所の谷芳成会頭(79)は「文化遺産との兼ね合いから遺産登録の実現見通しへの不安が大きかっただけに、(再推薦の決定は)大変うれしく思う」と政府の判断を歓迎。「住民の意識向上や観光客などの入り込み増への対応も進んでいる。奄美の自然の貴重さがさらにクローズアップされ、注目を集めるのではないか」と期待した。

 

 徳之島観光連盟の重田勝也会長(46)は「前回(今年6月)の推薦書取り下げでは残念な思いをした。文化遺産との調整を考慮すると今回の推薦がラストチャンスで、これからの2年間が非常に重要。遺産登録を見据えた誘客や受け入れ体制を整えないといけない」と地元の環境整備の重要性も訴えた。

 

 推薦決定を喜ぶ声の一方、IUCNが延期勧告で指摘した課題への対応に向けて注文も。 奄美・沖縄の再推薦に向けて専門家として助言を行う世界自然遺産候補地科学委員会委員の東京大学医科学研究所特任研究員、服部正策さん(65)は「推薦書のどこをどう変えるのか、詳しい中身はまだ分かっていない。IUCNの細かい指摘に十分対応できるのか。急いで大丈夫なのかという心配はある」と懸念を示す。その上で「なるべく早く(国に推薦書の)素案を見せてもらいたい」と語った。

 奄美大島エコツアーガイド連絡協議会の喜島浩介会長(67)は「登録に向け、次はないという認識を持って行政が本気になり、住民の意識もさらに高めて一丸となって取り組んでいくことが必要。金作原国有林周辺の通行規制や利用ルールの導入、外来植物問題、希少植物の盗掘対策など解決すべき課題はまだ多く、時間はあまりない」と話し、課題への迅速な対応を訴えた。