奄美大島・湯湾岳山頂に計数器 環境省

山頂へ続く登山道=23日、奄美大島の湯湾岳(環境省奄美群島国立公園管理事務所提供)

山頂へ続く登山道=23日、奄美大島の湯湾岳(環境省奄美群島国立公園管理事務所提供)

  環境省は23日、奄美最高峰の湯湾岳(694メートル、大和村・宇検村)の山頂近くの登山道に、利用状況を調査するための計数器を設置した。奄美・沖縄の世界自然遺産登録に向けて、推薦地の湯湾岳では登山者の増加による自然環境への影響が懸念されており、同省は山頂付近への立ち入り規制を計画している。利用状況を踏まえて、年内にも立ち入り規制を含めた利用ルールの試行を開始する方針。

 

 湯湾岳は亜熱帯照葉樹の森にアマミノクロウサギなどの固有種や希少種を含め多様な動植物が生息・生育し、山頂一帯は世界自然遺産推薦区域の核となるエリア。奄美大島を開祖した二神が降り立ったといわれる霊峰で、参拝に訪れる人も多い。

 

 同省によると、湯湾岳の登山者は年間約4千人と推定され、登山者の増加によって、道沿いに生える植物の踏み荒らしや、希少種の密猟、盗掘など、環境負荷が懸念されている。自然環境の保全と、質の高い自然体験の提供を図るため、同省は2020年2月に専門家や自然保護団体など関係者との意見交換会を初めて開き、登山道のエリア別に利用の方向性をまとめたルール案を示した。

 

 ルール案では、山頂から神社や祠(ほこら)のある広場まで約250メートルの区間で一般の立ち入りを規制するほか、広場へ続く主な登山道2ルートのうち、宇検村側の約1・6キロの区間は少人数でガイドの同行を推奨し、大和村側の約370メートルの区間は制限を設けず、広く一般に開放する方針。

 

 登山者数を調査する計数器はこれまでに、登山道2ルートの入り口に両村が設置していた。山頂へ向かわずに、広場で折り返す人もいるとみられ、同省は規制の導入に向けて利用の実態を把握するため、広場から山頂へ向かう登山道沿いに新たに1基を設けた。

 

 利用ルールの導入に向けて、同省奄美群島国立公園管理事務所の千葉康人世界自然遺産調整専門官は「観光振興は大事だが、まずは自然の保護が第一。奄美大島の自然を守るため、観光客や地域の皆さんに協力してもらいたい」と述べた。

 

 利用ルールは関係者の合意を得て、同省と両村で策定する。当面は地域の合意に基づく自主ルールとし、法的拘束力はない。将来的には両村で条例などの整備を検討する。

 

登山者数の調査のため設置された計数器=23日、奄美大島の湯湾岳(環境省奄美群島国立公園管理事務所提供)

登山者数の調査のため設置された計数器=23日、奄美大島の湯湾岳(環境省奄美群島国立公園管理事務所提供)