人とクロウサギ共生へ 徳之島でモニターツアー

園主の指導を受け、タンカンの幼木にクロウサギの食害防護柵を設置するモニターツアー

園主の指導を受け、タンカンの幼木にクロウサギの食害防護柵を設置するモニターツアー

 国の特別天然記念物アマミノクロウサギによるタンカン食害被害の低減に向け、農家がクロウサギとの共生を目指して実践する取り組みなどを体験するモニターツアーが22、23の両日、天城、徳之島両町であった。島内の住民ら15人が参加し、クロウサギの生態やタンカン食害の現状などを学習。人とクロウサギの共生に必要な対策へ理解を深めた。

 

 徳之島のタンカン生産の9割以上を占める徳之島町によると、クロウサギによる食害は2017年度に初確認。19年度からクロウサギとの共生に向けて園地や樹木の周囲に保護柵を設置するなど対策を進めているが、被害面積は17年度の38アールから19年度は630アールへと拡大した。

 

 モニターツアーはクロウサギとの共生に向けた食害防止の取り組みとクロウサギの生態学習をエコツアー化し、新たな観光メニューにしようと、徳之島地区自然保護協議会が徳之島町と連携して主催。参加者は22日夜、天城町のクロウサギ観察小屋で環境省徳之島管理官事務所職員の講演に耳を傾け、クロウサギの観察・個体数調査も行った。

 

 23日は今年2月に初めて食害被害が確認された、徳之島町花時名の松下農園を訪問。園主の松下清志郎さん(58)の指導を受け、松下さんが独自に開発した動物よけシートを結束バンドで固定する防護柵の設置を体験した。

 

 母親とモニターツアーに参加した西阿木名中学校1年の嶺ちはるさん(13)は「クロウサギが姿を見せる機会が多くなったのはうれしいけど、タンカンなどの食害も増えているのは難しい問題。人と動物が共存できる工夫を考えないといけない」と話した。

 

 松下さんは「防護柵の設置は手間がかかるため、ツアー客に手伝ってもらうと作業が進む上、タンカン農家の実情を知ってもらう機会にもなる。防護柵の効果が楽しみ」と述べた。

 

 同協議会は今後、今回のモニターツアー参加者や観光関係者、エコツアーガイドへのアンケート結果を踏まえ、エコツアー化の検討を進める。徳之島町は16日に開始したガバメントクラウドファンディング(GCF)の「アマミノクロウサギと共に暮らす島プロジェクト」(目標額147万円)を活用して、タンカン樹木に設置した食害防護柵の効果検証のほか、クロウサギと共生する農園で収穫されたタンカンのブランド化などに取り組む方針だ。