大切な家族の一員 奄美各地の愛犬(1)

車いす犬ラッキーと島田さん

車いす犬ラッキーと島田さん

  2018年のえとは戌(いぬ)。犬は古(いにしえ)から人間のよき友として、愛されてきた。縄文時代には既に犬の墳墓が造られ、飼い主と共に埋葬された例もある。鹿児島県奄美群島各地で家族のように一緒に暮らす「愛犬」たちを紹介する。

 

◆ハンディ乗り越え、街の人気者 ラッキー5歳

 

 徳之島亀津新漁港で朝夕、車いすを装着して散歩する犬が話題を呼んでいる。その犬は島田須尚さん(68)=徳之島町亀津=の愛犬「ラッキー」だ。ハンディをものともせず、懸命に走り回る姿は、街の人気者になっている。

 

 ラッキーは2012年11月、亀津の山林で生後間もなく発見された。母犬はハブにやられ、きょうだい6匹は全て餓死していた。当時、島田さんは愛犬「寅」を飼っていた。寅は殺処分寸前に保護した。生と死のはざまにいたラッキーと寅を重ね合わせ、幼い命を守る決断をした。

 

 その1年後、島田さんが墓参りを済ませている間に軽トラックの荷台からラッキーが飛び降りて事故にあった。沖縄県で手術して一命を取り留めたが、脊髄損傷で後ろ足が動かなくなった。

 

 「きちんとリードをしておくべきだった」と悔やむ島田さん。ラッキーは車いす歩行をするようになって4年以上が経過した今も、自力で排せつもできない。ラッキーのため、トイレ代わりの毛布を洗濯するのが島田さんの日課だ。

 

 「互いに信頼し合い、絆で結ばれている大切な存在。人生のパートナー」と島田さん。ラッキーに注ぐ視線は優しい。「健康で長生きしなきゃね」と笑った。

 

◆飼い主の愛情〝満タン〟 グウ5歳(雄)

 

 沖永良部島知名町瀬利覚のガソリンスタンド・(有)八木石油店に、飼い主から愛情を『満タン』に注がれている飼い犬がいる。雄犬のグウ5歳だ。

 

 隣町の和泊町から、飼い主の八木起世(きせ)さん(63)が運転する車の助手席に乗り、毎朝、午前9時に出社。夕方、帰宅するまで従業員の一員として自分の仕事をこなす。

 

 スタンドに客の車が来ると、「ワン」とひと鳴きし、従業員に来客を伝える。常連客の車であればスタンドに入る前に音を聞き分け、教えてくれるという。

 

 沖永良部島は正午すぎに新聞が届く。配達員から受け取るのもグウの仕事。常連客に頭をなでてもらったり、学校帰りの児童らが、たまに遊びの相手をしてくれるのを楽しみにしている。

 

 八木さんの息子が捨て犬だったグウを、実家で飼うよう提案した。以来5年間、ガソリンスタンドで看板犬を務める。「子育ても終わって、今はグウが子どもみたいなもの」。八木さんが優しく頭をなでると、うれしそうにしっぽを振った。

ガソリンスタンドの看板犬グウと、飼い主の八木辰哉さん、起世さん

ガソリンスタンドの看板犬グウと、飼い主の八木辰哉さん、起世さん