子どもの教育が大事 奄美市で世界遺産シンポ

住民参加の自然保護策を話し合ったシンポジウム=30日、奄美市名瀬

住民参加の自然保護策を話し合ったシンポジウム=30日、奄美市名瀬

 鹿児島県主催の第1回奄美世界自然遺産推進シンポジウムが30日、奄美市名瀬の集宴会施設であった。約170人が来場。専門家の講演や地元関係者らのパネルディスカッションがあり、希少種保護や外来種対策への住民参加の在り方を探った。パネリストから、奄美の自然について「住民が知らない」「興味がない人が多い」などの指摘が相次ぎ、子どもたちの自然体験や環境教育の充実を求める声が上がった。

 

 シンポジウムは来年夏を見込む奄美・沖縄の世界自然遺産登録を見据えて、地域の機運醸成を図る目的で開催。奄美大島で文化や観光、屋久島・沖縄との連携をテーマに2019年度に全4回の開催を計画している。

 

 基調講演を行った屋久島環境文化財団理事長の小野寺浩さんは、1993年に世界自然遺産に登録された屋久島と、奄美群島の社会情勢の移り変わりを比較。屋久島では宿泊収容力が約2倍に増加するなど、「世界遺産効果で、観光を中心に全体を底上げしている」と強調した。

 

 奄美の世界遺産登録に向けて「遺産になると人気が出る。観光客が来るのはいいことだが、地元にお金を落とし、大事な自然を荒らさないように工夫してほしい」と呼び掛けた。

 

 パネルディスカッションは小野寺さんをコーディネーターに、環境省の東岡礼治・沖縄奄美自然環境事務所長と、地元から常田守さん(奄美自然環境研究会会長)、山下茂一さん(奄美市住用町市集落区長)、安田壮平さん(奄美市議会議員)、富元怜司さん(県立大島高校生物部部長)が意見交換した。

 

 東岡所長は外来種対策や希少種の密猟、交通事故防止の取り組みに地域の協力を呼び掛け、「奄美にいる希少な生き物に興味を持ってほしい」と述べた。

 

 常田さんは人為的な移入などを例に「外来種をなくすためには、奄美の人が自然を理解しないといけない」と指摘。希少種の保護へ「奄美の未来を握る子どもの教育が大事だ」と訴えた。

 

 外来植物の駆除について、山下さんは集落での取り組みを紹介。「根絶は至難のわざ。住民の意識改革では解決しない」と抜本的な対策を求めた。安田さんは住民に加えて、観光客も含めた参加型イベントを提案した。

 

 富元さんは野生化した猫(ノネコ)などの外来種問題について、「同級生も知らないことが多い」と話し、「島民の一人として、島に貢献できることがあれば具体的に行動したい」と決意を述べた。