希少種持ち出し阻止にAI活用 奄美群島、県が空港で照合・判別

希少種判別アプリ運用イメージ(県提供)

希少種判別アプリ運用イメージ(県提供)

 鹿児島県は今年度、ICT(情報通信技術)を活用した奄美大島と徳之島の希少動植物保護の取り組みに着手する。画像認識AI(人工知能)アプリを用いたスマートフォンやタブレットなどで希少種を判別し、世界自然遺産登録を目指す奄美からの持ち出しなどを防ぐ。対象種は県指定の希少野生動植物42種のうち、奄美群島に分布する25種を柱に選定する。今年度は対象種の画像撮影を進め、年度内の運用試行も目指す。

 

 南西諸島からの希少種持ち出しについては、2018年7月に奄美大島の奄美空港で、アマミイシカワガエルやオットンガエルなどを保安検査担当職員が見つけて警察に通報。同年11月には、沖縄県から香港への国指定天然記念物リュウキュウヤマガメ60匹の密輸事案もあった。

 

 沖縄県ではリュウキュウヤマガメの密輸事案を受け、19年度にAIを活用した対策を試行している。鹿児島は沖縄の取り組みを参考に事業を進める。

 

 具体的にはスマートフォンやタブレットのAIアプリにあらかじめ希少種の特徴を記憶させ、空港の手荷物検査場などで希少種とみられる動植物が見つかった場合に、特徴を照合して判別する。

 

 今年度は希少種の撮影が取り組みの柱で、事業費は647万円。県自然保護課によると、アプリの運用機関は環境省奄美自然環境事務所や県、捜査機関、税関、空港、航空会社などを検討しており、今後調整する。奄美空港や徳之島空港での試行を想定し、端末の配備方法や規模などは今後検討するという。

 

 希少種の判別については特徴の把握を含めて専門的な知識が必要。従来は撮影した写真を専門家に確認してもらうなど、種の同定に時間を要していたことから、県はアプリ活用の効果に期待している。

 

 一方で、空港と異なり手荷物検査が行われていない港湾施設での希少種持ち出し対策は手つかずの状態。自然保護課も重要な課題と位置付けており、関係機関と連携した対策への取り組みが求められる。