10カ年計画見直し案示す 輪禍増加 2島で利用規制へ 希少野生生物保護増殖検討会

アマミノクロウサギなどの保護増殖事業実施計画の見直し案が示された検討会=30日、奄美市名瀬

アマミノクロウサギなどの保護増殖事業実施計画の見直し案が示された検討会=30日、奄美市名瀬

 奄美希少野生生物保護増殖検討会(座長・石井信夫東京女子大学教授、委員6人)の会合が30日、奄美市名瀬であった。環境省はアマミノクロウサギなど奄美の国内希少種3種について、2014年度に策定した10カ年の保護増殖事業実施計画の見直し案を示した。奄美大島と徳之島でクロウサギの交通事故が増加している問題で、関係機関と連携してナイトツアーの観察ルールの検討を進め、両島で19年度に利用規制を開始する方針を新たに盛り込んだ。

 

 同省は00年度から、種の保存法に基づいて奄美ではアマミノクロウサギとアマミヤマシギ、オオトラツグミの保護増殖事業を進めている。

 

 実施計画は両島の世界自然遺産登録を見据えて策定。24年3月までに、環境省のレッドリストでクロウサギは現在の絶滅危惧ⅠB類から同Ⅱ類以下へ、他の2種は絶滅危惧種に記載されないなど、分類カテゴリーの危険度の引き下げを目標に掲げた。見直し案は18年度までの進捗や活動内容の評価結果を踏まえてまとめた。

 

 同省の報告によると、18年のクロウサギの交通事故死は奄美大島20件、徳之島19件の計39件。00年以降で最多だった前年の34件(奄美大島26件、徳之島8件)を上回り、多発傾向が続いている。

 

 計画の見直し案では、両島で近年、マングース防除や野生化した猫(ノネコ)対策によってクロウサギの生息状況に回復傾向がみられると評価。ナイトツアーによる生息環境への影響や交通事故防止対策を課題に挙げ、奄美市住用町の三太郎峠や、徳之島町の林道山クビリ線で利用規制を行う計画を盛り込んだ。

 

 同省奄美自然保護官事務所の千葉康人上席自然保護官は、奄美・沖縄の世界自然遺産登録の延期を勧告した国際自然保護連合(IUCN)から、候補地の利用調整について指摘があったとして、「ナイトツアーで混雑が発生している。クロウサギだけでなく、他の動物への影響も出ている。関係者の間では対策をすぐに始めるべきという共通認識がある」と述べた。

 

 同省は検討会の意見を踏まえて、19年度中に実施計画を改定する方針。