◎「野生化は人間の責任」―奄美高校

2018年02月23日

 

奄美高校・自然講演会・鳥飼久裕180222蘇 「猫の日」の22日、奄美市名瀬の奄美高校(二石政彦校長、生徒521人)で世界自然遺産登録に関する教育講演会があった。生徒たちは奄美の自然や野生化したネコ(ノネコ)の問題について理解を深めた。

 

 講師はNPO法人奄美野鳥の会会長で奄美ネコ問題ネットワーク副代表の鳥飼久裕さん(57)。「奄美の豊かな自然と現状の課題について」をテーマに講演した。

 

 鳥飼さんは奄美大島の森の生き物が食べたり食べられたりする関係を食物網で示し、▽シイの実やミミズ、カエルを食べる動物が多い▽食物網の頂点はいくつかのヘビや鳥▽大・中型の肉食性哺乳類がいない―などと解説した。

 

 奄美の生物の危機の要因として①森林伐採や海洋汚染などで生物の生息環境が奪われる②違法採集やロードキル(交通事故)などで人が直接生物を殺す③奄美にいなかった生物(外来種)の影響―の三つを指摘した。

 

 さらに、外来種としてネコを取り上げ、山の中でネコがアマミノクロウサギやアマミヤマシギなどを捕食する映像などを使って自然への影響を説明した。「ネコは人間がペットとして運んできた動物。そのネコが野に放たれて野生動物を食べている。ネコ問題の責任は人間にある。奄美の自然のバランスが壊れてしまわないように、ノネコやノラネコを減らし、ネコをきちんと飼おう」と呼び掛けた。

 

 生徒会長で2年生の岡﨑慧斗さん(17)は「野生化したネコの問題の大きさが分かった。自分たち一人一人がネコの飼い方など、しっかりしなければならないと思った」と話した。