アフリカマイマイなど5種 個別に駆除マニュアル作成 鹿児島県

2019年06月08日

正しい駆除方法や外来種の特徴などを記したマニュアル(写真はアフリカマイマイ駆除用)

正しい駆除方法や外来種の特徴などを記したマニュアル(写真はアフリカマイマイ駆除用)

 【鹿児島総局】県は奄美群島版の外来種駆除マニュアルを作成、ホームページで公開している。2020年の世界自然遺産登録を目指す奄美大島と徳之島の生物多様性や生態系保護へ、民間の意識向上を図る目的。繁殖力が強く早急な駆除が必要な外来種5種について個別に作った。県は「正しい駆除作業のため、民間でも役立ててほしい」としている。

 

 マニュアルは▽アフリカマイマイ▽スクミリンゴガイ(ジャンボタニシ)▽セイタカアワダチソウ▽ポトス(オウゴンカズラ)▽ムラサキカッコウアザミ―の5種。特徴や在来種に与える影響、駆除手法などをイラスト付きで解説している。

 

 例えば、寄生虫の危険性があるアフリカマイマイとスクミリンゴガイについては素手で触らないように注意を促しているほか、捕獲後は埋設か可燃ごみとして処分することなどを記載。通年で種子をつけるムラサキカッコウアザミについては、衣服に付着した種子が散布されて繁殖する恐れがあるため、種子が付着しない服装での作業を呼び掛けている。

 

 奄美の外来種問題は、奄美・沖縄の世界自然遺産登録について延期勧告をした国際自然保護連合(IUCN)が対策の充実化を要望。県自然保護課は「駆除は遺産登録へ不可避の課題で、住民の協力が不可欠。主体的な駆除活動の一助にしてほしい」としている。

 

 マニュアル作成について、奄美大島で外来種駆除活動を展開している奄美大島エコツアーガイド連絡協議会の喜島浩介会長(68)は衣服への種子付着を例に「駆除のつもりが逆に広げてしまう可能性もある。正しい知識での駆除作業へ、マニュアルは有効だ」と述べ、評価した。

 

 奄美市名瀬の植物写真家、山下弘さん(67)は「外来種問題への関心を広げるためにも効果的」とした上で「何が外来種か分からない人もいるので、写真などで分かりやすく情報を提供することも必要」と話した。