ウミガメ産卵回数 前年の6割に

2019年05月08日

ウミガメ観察時の注意点を説明する興会長(左)=6日、奄美市名瀬の大浜海岸

ウミガメ観察時の注意点を説明する興会長(左)=6日、奄美市名瀬の大浜海岸

 奄美海洋生物研究会(興克樹会長)主催のウミガメミーティングが6日、奄美市名瀬の奄美海洋展示館であった。奄美大島で2018年に上陸、産卵が確認されたウミガメの調査報告があり、産卵回数は384回で前年(632回)の約6割にとどまった。興会長は昨年10月に中国でウミガメの大規模な密漁が発覚したとして、「密漁が横行するとウミガメが減ってしまう」と懸念を示した。

 調査報告によると、18年の産卵回数の内訳はアカウミガメ137回(前年281回)、アオウミガメ217回(同335回)、不明30回(同16回)。特にアカウミガメは減少が顕著で、調査を開始した12年の約2割にとどまり、過去最少となった。

 興会長は報告で、中国でウミガメ128匹を密漁した密売グループが摘発され、そのうち屋久島などで産卵した際に付けられたタグ(識別標識)のあるアカウミガメも含まれていたと報告。アカウミガメの餌場である東シナ海で漁船の活動が活発に行われていると指摘し、「産卵浜だけでなく、餌場や移動経路となっている海域も守らないといけない」と訴えた。

 海水浴シーズンを前に、海の危険生物の紹介もあった。4月に徳之島で大発生し、瀬戸内町で漁業者が被害に遭った猛毒を持つウンバチイソギンチャクなどを示し、「よく分からないものには触らないこと。被害に遭ったらすぐに病院へ行ってほしい」と呼び掛けた。

 同協会は12年度に発足。ウミガメの産卵環境の保全を目的に、市町村や関係機関、地域住民らと連携して島内全域で調査を実施。各地でミーティングを開き、調査報告や産卵観察会も行っている。

 ミーティングは今年初開催。約40人が参加し、毎年ウミガメが産卵する大浜海岸で観察時の注意点などに理解を深めた。