ザトウクジラ来遊、過去最多 鯨ウオッチに3千人超 20年季調査結果 奄美大島

2020年04月11日

ザトウクジラの親子=3月、奄美大島沖(興克樹さん撮影)

ザトウクジラの親子=3月、奄美大島沖(興克樹さん撮影)

  奄美クジラ・イルカ協会(興克樹会長)は10日、冬から春にかけて奄美大島近海に来遊するザトウクジラについて、2020年シーズンの調査結果(3月31日現在)をまとめた。出現確認数は971頭。加盟8事業者によるホエールウオッチングは、新型コロナウイルス感染症の影響で300人以上のキャンセルが発生したものの、参加者は3684人に達し、ともに前季を大幅に上回って過去最多を記録した。

 

 調査は環境省の19年度奄美群島国立公園奄美大島周辺海域における鯨類調査等業務の一環。同協会の加盟事業者などが海上と陸上でクジラの出現状況を確認した。

 

 今季は19年12月11日に大和村の嶺山公園沖で初確認。1月の確認数は例年より少なかったものの、同月下旬から増加に転じ、2月下旬に来遊のピークを迎えた。確認数は前季(733頭)を238頭上回り、32・5%の増加。最も多かった日は2月23日の38頭だった。

 

 ホエールウオッチングの参加者は前季(2936人)の1・26倍に達した。そのうち海に入って泳ぎながらクジラを観察するホエールスイムの参加者は1526人で全体の41・4%を占めた。新型コロナ関連のキャンセルは355人だった。

 

 調査を本格化した14年以降、クジラの出現確認数とホエールウオッチングの参加者はともに増加傾向が続き、奄美の冬季観光の目玉として注目されている。

 

 今季は母子を含む群れの数が全体の16・7%を占め、過去最多だった。興会長は「奄美にとどまる母子が多く見られた。子育てに適した環境なのでは。ストレスを与えないように観察して持続的な利用につなげたい」と話した。

 

 ザトウクジラは体長12~14メートル、体重30トンにもなる大型のヒゲクジラ。頭部のこぶ状の突起と長い胸ビレが特徴。夏場はロシアやアラスカなどの冷たい海で餌を食べ、冬季に繁殖や子育てのため、国内では沖縄や小笠原などの暖かい海域へ移る。