リュウキュウサワガニなど 希少野生動植物に5種指定 鹿児島県

2021年04月03日

県の希少野生動植物に指定されたリュウキュウサワガニ(鈴木廣志氏提供)

県の希少野生動植物に指定されたリュウキュウサワガニ(鈴木廣志氏提供)

 県は2日、奄美大島と徳之島に生息する固有種のリュウキュウサワガニと、両島のほか沖縄や東京都の小笠原諸島にも生息するヤシガニなど動植物5種を、新たに希少野生動植物に指定したと発表した。これにより県の指定種は計50種、うち奄美群島の生息種は28種となった。許可なく捕獲・採取した場合、1年以下の懲役か50万円以下の罰金が科せられる。

 

 リュウキュウサワガニは県が「絶滅危惧種Ⅰ類」、国が「準絶滅危惧種」に指定。甲羅の幅が約20㍉で、甲羅中心部以外の背面には顆粒やしわがある。主に夏季に繁殖し、河川の上流や渓流域に生息している。

 

 水中の石の下や川床に穴を掘ってすんでおり、陸上に出てくることは少ない。県によると、河川改修工事に伴う生息環境の悪化などで、生息数は極めて減少しており、保護の重要性を指摘している。

 

 ヤシガニは県が「絶滅危惧Ⅰ類」、国が「絶滅危惧Ⅱ類」に指定。甲羅の長さは120㍉に達し、夏季に繁殖する。昼間は海岸に近いアダン林などの根本の穴に潜み、日没後にはい出してくる。

 

 食用のための乱獲や護岸工事などで生息数が減少。沖縄県の多良間村や宮古島市は条例を制定し保護している。鹿児島県内でも近年は目撃例が激減しており、県は保護の必要性が高いと判断した。

 

 リュウキュウサワガニとヤシガニ以外に希少野生動植物の指定を受けるのはイワギリソウ(イワタバコ科)、ヤマシャクヤク(ボタン科)、サルメンエビネ(ラン科)の維管束植物3種。

 

 いずれも奄美群島以外の生息種で、県内ではイワギリソウが南さつま市、ヤマシャクヤクが伊佐市、サルメンエビネが熊本県境と大隅半島などにそれぞれ生息している。

県の希少野生動植物に指定されたヤシガニ(鈴木廣志氏提供)

県の希少野生動植物に指定されたヤシガニ(鈴木廣志氏提供)