三太郎線で夜間規制開始 奄美市住用

2020年11月21日

世界自然遺産

 環境省は19日、奄美市住用町の市道三太郎線周辺で、夜間の車両通行を規制する実証実験を始めた。三太郎線周辺は、夜間にアマミノクロウサギなど希少動物が観察できる人気スポット。23日までは夜間通行に事前予約が必要となり、初日の19日は車両13台が午後6~11時に15分間隔で通行した。

 

 通行規制がかかるのは①市道三太郎線(奄美市住用町東仲間集落から西仲間集落までの市道=要事前予約、一方通行)②市道スタル俣線(夜間通行止め)③市道石原栄間線(夜間通行止め)。午後6~11時、三太郎線の出入り口に配置された環境省の職員が、利用ルールの説明や出口アンケートなどを行う。

 

 規制対象の3線は近年、ナイトツアーのスポットとして人気で、車両の往来が増加。希少動物の交通事故や、利用者同士のトラブルも発生している。

 

 初日の19日は、環境省の職員ら11人が三太郎線の利用者に▽時速は晴天時15㌔以下、雨天時は10㌔以下▽無理な追い抜きをせず、後続車両とゆずり合う▽動物から離れ、静かに観察する▽ペットを連れていかない│などの観察ルールを説明した。

 

三太郎線を夜間利用する予約車両にルールを説明するため配置された環境省の職員ら=19日、奄美市住用町東仲間

三太郎線を夜間利用する予約車両にルールを説明するため配置された環境省の職員ら=19日、奄美市住用町東仲間

 この日初めて三太郎線を通行した奄美市住用町見里の自営業望月末男さん(76)と福代さん(69)は、茨城県からのIターン者。市の広告でツアーを知り、興味を持って予約をした。「アマミノクロウサギを4匹見ることができた。実際に見てみないとわからない感動がある。自然を大切にするにはこういうルールも大事だと思う」と語った。

 

 一方、3台目に通行した奄美市の男性はほとんど動物を見ることはできなかったという。「15分置きの出発だが、後続車両の出発時には動物たちが警戒して逃げて行っているのかもしれない」と話した。

 

 環境省は実験の効果を検証して、奄美・沖縄の世界自然遺産登録審査が行われる2021年夏をめどに利用ルールの導入を目指している。

 

 通行の予約は実験事務局電話=090(4224)3677、ファクス=03(5226)1114、メールsantaro@prec.co.jp。