世界遺産委、開催延期  奄美沖縄審査、コロナ影響

2020年04月16日

世界自然遺産

多様な生き物が宿る照葉樹の森。生命の源となる水が巡る=奄美大島

多様な生き物が宿る照葉樹の森。生命の源となる水が巡る=奄美大島

 国連教育科学文化機関(ユネスコ)は14日、新型コロナウイルスの世界的な感染拡大を受けて、6月から中国で予定していた世界遺産委員会の延期を決めた。委員会で予定していた世界自然遺産候補の「奄美大島、徳之島、沖縄島北部および西表島」の登録審査も先送りとなった。

 

 委員会は6月29日から7月9日にかけて中国・福州で開かれる予定だった。ユネスコはホームページで委員会の延期を発表。今後の日程については検討中で、「できるだけ早く詳しい情報を提供する」としている。

 

 奄美・沖縄については、登録の鍵を握るユネスコの諮問機関・国際自然保護連合(IUCN)の勧告が5月ごろに出る見込みだった。勧告は世界遺産委員会開催の6週間前までに出されるが、環境省自然環境計画課は「委員会の日程が決まっていないので、今の段階ではどうなるか分からない」と説明。

 

 同課の担当者は「例年通り、大型連休ごろに勧告が行われることも想定しながら動いている状況。早期登録を目指す方針に変わりはない。引き続き万全を期して取り組んでいく」と述べた。

 

 奄美・沖縄を巡っては、政府は2017年2月、ユネスコに推薦書を提出。同年10月にIUCNが現地調査を行ったが、推薦地の分断などによって希少な動植物の保護が十分でないとして、18年5月に「登録延期」を勧告。19年2月の再推薦を経て、10月にIUCNの再調査が行われた。