事業全体の2割未着手 猫対策、巡視は目標達成 生物多様性地域戦略評価 奄美大島

2018年09月09日

希少種保護パトロールの強化で奄美大島自然保護協議会が配置した監視員=2016年5月、奄美市住用町

希少種保護パトロールの強化で奄美大島自然保護協議会が配置した監視員=2016年5月、奄美市住用町

 島内5市町村で組織する奄美大島自然保護協議会は、奄美大島生物多様性地域戦略の2015、16年度の取り組み状況評価をまとめた。行動計画で設定した105事業の施策のうち、猫対策や希少種保護パトロールなどの取り組みでおおむね目標を達成したものの、全体の2割に上る21事業が未着手となっている。

 

 戦略は生物多様性基本法(08年施行)が地方公共団体に策定を義務付けた生物多様性の保全と持続可能な利用に関する地域の総合計画。5市町村は国内初の複数の自治体による共同策定に取り組み、15年3月に完成させた。

 

 期間は15年度から10年間。▽生物多様性の保全・管理▽人と自然が共生する社会を構築するための仕組み作りと人材育成▽生物多様性の持続可能な利用―の三つの基本方針に基づき、105事業の行動計画を設定した。

 

 取り組み状況評価の公表は今回が初めて。各事業を「目標を達成している」から「取り組みも検討も行っていない」まで各市町村ごとに4段階で評価した。19年度に中間評価を行い、事業の改定について検討する。

 

 16年度の評価では、野生生物の保護に向けたパトロールの強化や、野良猫に不妊手術を行って増加を抑制するTNR、サンゴ礁保全、廃棄物対策、自然体験などの学習機会の提供などの施策で各市町村ともほぼ目標を達成した。

 

 一方、「奄美大島外来生物バスターズ(仮称)」の設置や、奄美大島版環境影響評価制度の検討、住民参加による自然調査、農業に関する環境配慮マニュアルの整備などについてはほとんどの市町村で「実績なし」となっている。

 

 同協議会事務局の奄美市プロジェクト推進課は「各市町村で取り組みにばらつきのある項目がある。有識者の意見を聞きながら今後の取り組みを検討したい」としている。

TNR事業で不妊手術を行うため捕獲された野良猫(奄美市環境対策課提供)

TNR事業で不妊手術を行うため捕獲された野良猫(奄美市環境対策課提供)