再編地を重点視察 IUCN専門家 奄美2島の再調査終了 世界自然遺産
2019年10月11日
来年夏の世界自然遺産登録を目指す「奄美大島、徳之島、沖縄島北部および西表島」をめぐる国連教育科学文化機関(ユネスコ)の諮問機関・国際自然保護連合(IUCN)の専門家による現地調査は10日、奄美側の視察が終わった。IUCNの調査は2017年に続き2回目。記者会見した環境省の幹部らは沖縄島北部を含めた6日間の調査について、前回のIUCN側の指摘で見直した推薦区域の編入地を重点的に確認したと説明した。
調査は5日の沖縄島北部から始まり、8日から徳之島、奄美大島で行われた。IUCN専門家のウェンディー・アン・ストラーム氏とIUCN世界遺産部門職員のウルリーカ・オーバリ氏が各地域を視察した。
環境省によると、2氏は沖縄島北部の米軍北部訓練場返還地など、各地域の編入地を歩き、推薦区域の森林の連続性を確認。担当者から野生化した猫(ノネコ)などの外来種対策や、盗掘・盗採防止に向けた夜間パトロールなど希少種保護の取り組みについて説明を受けた。10日は奄美大島で自然保護、観光関係者と意見交換した。
沖縄奄美自然環境事務所の東岡礼治所長は「IUCNの(登録延期)勧告を踏まえて、地域と一緒に取り組みを進めたことを説明した」と述べ、自然遺産登録実現へ「地域の人の熱意に応えられるよう関係機関と連携して自然環境を守る体制を取る」と強調した。
2氏の反応については「審査の過程なのでコメントは差し控える」と繰り返し、明らかにしなかった。
2氏は10日、奄美市笠利町の奄美空港から沖縄へ向かった。12日まで西表島で調査があり、関係者らが石垣市で記者会見する。
政府は2017年2月、奄美・沖縄をユネスコに推薦。IUCNは推薦区域に北部訓練場返還地が含まれず、細かく分断されていることなどを保全上の問題として18年5月に「登録延期」を勧告。今年2月、推薦区域を再編して再推薦した。