写真家の勝廣光さん、クロウサギ写真集発刊

2019年02月16日

発刊された写真集を紹介する勝さん=15日、奄美市

発刊された写真集を紹介する勝さん=15日、奄美市

 奄美自然環境研究会副会長で写真家の勝廣光さん(71)=奄美市笠利町=が手掛けた「写真でつづるアマミノクロウサギの暮らしぶり」が発刊された。集団での子育てやマーキング行動、鳴き声でコミュニケーションを取る様子など、初めて撮影に成功した貴重な写真を多数収録。3世代にわたるアマミノクロウサギの暮らしから奄美の自然環境の全体像を探る一冊。

 

 アマミノクロウサギは奄美大島と徳之島にだけ生息する固有種のウサギ。主に夜行性で、短い耳と脚、発達した爪を持ち、土穴を掘って子育てすることで知られる。体長40~50センチ、体重1・5~2・7キロ。国の特別天然記念物。

 

 勝さんは1991年から、奄美大島の海沿いの崖地にある生息地で撮影を開始。赤外線ビデオカメラ3台と自動撮影カメラ2台などを使い、毎週通って母ウサギの授乳や父ウサギの育児の様子、子ウサギの巣立ち、繁殖などを記録した。

 

 写真には固有種のハブやルリカケス、アマミトゲネズミ、ケナガネズミなども写り込む。一方、撮影中は外来種で野生化したヤギの姿も多く見られたという。

 

 同研究会の常田守会長(65)は「離島という環境に適応して共存してきた生き物たちの姿から、固有種が今置かれている状況や奄美に住む人間が何を守るべきなのかが見えてくるはずだ」と指摘した。

 

 「雌が生涯に何頭子どもを産むのかや子育てを助ける雄の存在など、今後も撮影を続けて解明し、ぜひ続編を出したい」と勝さん。「写真集が奄美の子どもたちの教育にも役立てば」とも期待した。

 

 A5判カラー、110ページ、1800円(税抜き)。問い合わせは電話099(248)5455㈱南方新社。