北半球初記録のハゼ確認 鹿児島大学

2020年12月19日

ホコサキキララハゼ(採集者の萩原清司氏提供)

ホコサキキララハゼ(採集者の萩原清司氏提供)

 鹿児島大学は17日、瀬戸内町の大島海峡で採集されたハゼが、北半球で初記録となるハゼ科キララハゼ属の魚類であることが分かり、「ホコサキキララハゼ」の和名を付けたと発表した。

 

 学名は「アセントロゴビウス リマリウス」。インドネシアで採集した標本から2015年に新種として確認されて以降、報告はなかったが、同大学総合研究博物館が約8年前から本格的に取り組んでいる「奄美群島の魚類相調査」の過程で、同種の日本国内での分布が初めて明らかになった。

 

 ホコサキキララハゼは全長3・5センチほど。尾びれが矛の先端を連想させることから、この和名が付けられた。頬の辺りが、うろこに覆われていることなどが大きな特徴。

 

 2013年に瀬戸内町阿鉄沖で採集され、神奈川県の横須賀市自然・人文博物館に保管されていた標本を、同大学大学院連合農学研究科博士課程2年の藤原恭司さんが調べ同種と確認。この報告は、11月17日付で出版された日本動物分類学会発行の国際学術誌にも掲載された。

 

 鹿大総合研究博物館長の本村浩之教授(47)は「この種を含むキララハゼ属は、種類数や分布域など、いまだ多くの分類学的問題を抱えており、今後の研究の進展が期待される」と見解を述べた。