天然記念物オオトラツグミ、公開へ 平川動物公園で全国初交通事故防止へ啓発

2019年07月13日

 

平川動物公園での公開が決まったオオトラツグミ(提供写真)

平川動物公園での公開が決まったオオトラツグミ(提供写真)

 国の天然記念物で奄美大島だけに生息する野鳥オオトラツグミが19日から鹿児島市の平川動物公園で公開される。環境省によると、オオトラツグミの生体展示は全国で初。関係者は生態や野生動植物保護への理解が深まるとともに、野生生物の交通事故防止の取り組みが進むことを期待している。

 

 オオトラツグミは奄美大島の原生的な照葉樹林内に生息する。成体の全長は約30センチで、全身に黒や黄色の三日月斑、横斑がある。戦後の森林開発などで生息数が減少し、環境省のレッドリストで絶滅危惧Ⅱ類、1993年に種の保存法に基づく国の希少種に指定された。

 

 展示するのは18年8月に奄美市住用町の路上で保護された成体。交通事故に遭ったとみられ、島内の動物病院で治療した。右目を損傷し回復後も飛行能力が不完全なことなどから、野生復帰は困難と判断して今年3月に終生飼養の目的で平川動物公園に移送された。

 

 同園は個体へのストレスなどを考慮して当初非公開で飼育していたが、状態が安定していることから啓発や環境教育のために公開を決定。えさをよく食べ、飼育ケージの中を飛び跳ねるなどとても元気だという。飼育担当者は「きれいな声でよく鳴くのでオスだと思われる」と推測している。

 

 園内では生態や保護の取り組みを紹介するパネルも掲示し、オオトラツグミをはじめとする奄美大島の野生動植物種の保全について普及啓発を行う予定。

 

 奄美大島大和村の奄美群島国立公園管理事務所(環境省奄美野生生物保護センター)の早瀬穂奈実国立公園管理官は「普段見ることのできない生きた姿を通して生態や奄美大島における保護の取り組みを知ってもらい、合わせて野生生物の交通事故防止へ理解と対策が進めば」と語った。