湯湾岳観察会に40人 奄美博物館

2019年12月11日

路傍の植物を観察する参加者ら

路傍の植物を観察する参加者ら

奄美市立奄美博物館主催の「湯湾岳いきもの観察会」が8日、大和村と宇検村に連なる奄美最高峰の湯湾岳(694・4㍍)であった。地域住民ら40人が参加。山頂に続く登山道で希少な植物などを観察し、来年夏の世界自然遺産登録を目指す奄美の魅力を体感した。

 

 湯湾岳は亜熱帯照葉樹の森に国の特別天然記念物アマミノクロウサギなどの固有種を含め多様な動植物が生息・生育。山頂一帯は奄美群島国立公園の特別保護地区に指定され、奄美・沖縄の世界自然遺産推薦区域の中でも核となるエリアとなっている。

 

 観察会は同館のリニューアルオープン記念事業の一環。自然担当職員の平城達哉さん(28)が講師を務めた。

 

 参加者は大和村名音の登山道入り口周辺でアカヒゲのさえずりに耳を傾けながらクロウサギのふんや路傍の植物を観察。頂上に続く登山道を歩いて、落ち葉の間に赤い花を咲かせたユワンツチトリモチや、赤い実を付けたリュウキュウヤマシキミなどの観察を楽しんだ。

 

 初めて湯湾岳を訪れた沖縄出身の公務員盛島明夏さん(31)=奄美市名瀬=は「奄美の自然は沖縄と似ていると思ったが違う。高い山がない沖縄よりも自然の幅が広いと思った。もっと勉強したい」と話した。

 

開花期を迎えたユワンツチトリモチ=8日、大和村

開花期を迎えたユワンツチトリモチ=8日、大和村

 平城さんは「湯湾岳の希少な動植物を見て興味を持ってもらい、奄美の自然に関わる人が出てくればうれしい」と語った。