希少種保護へ監視体制強化 奄美空港

2019年07月09日

希少野生生物の密猟防止へ関係機関の連携と監視体制の強化を呼び掛けた研修会=8日、奄美市笠利町の奄美空港

希少野生生物の密猟防止へ関係機関の連携と監視体制の強化を呼び掛けた研修会=8日、奄美市笠利町の奄美空港

 奄美市笠利町の奄美空港で8日、希少野生生物の密猟・密輸対策に関する研修会があった。空港関係者ら約40人が参加。環境省の職員が、法令で捕獲や採取が禁止されている奄美の希少種や、今年4月に男2人が逮捕された奄美大島での密猟事件などを紹介。「フィールドと空港などの水際対策を両輪でやっていかないといけない」と述べ、来年夏を見込む奄美・沖縄の世界自然遺産登録に向けて、関係機関の連携による監視体制の強化へ協力を呼び掛けた。

 

 研修会は、奄美群島の希少種の違法採取や持ち出し防止を目的に、国、県、警察、海保、空港、航空事業者など関係機関で今年3月に設立した「奄美群島地域における希少な野生動植物の密猟・密輸対策連絡会議」(事務局・同省沖縄奄美自然環境事務所)の取り組みの一環で、初めて開催。

 

 奄美群島国立公園管理事務所の千葉康人世界自然遺産調整専門官と早瀬穂奈実国立公園管理官が講話した。

 

 奄美空港では昨年7月、奄美大島だけに生息し、種の保存法で捕獲が禁止されているアマミイシカワガエルやオットンガエルなどがキャリーバッグに入っているのを職員が見つけ、警察に通報。今年4月に男2人が種の保存法違反などの疑いで逮捕された。

 

 千葉専門官らは特に昆虫や両生類、爬虫(はちゅう)類はおとなしく、発覚しにくいため、密猟されやすいと指摘。マニアが多く、インターネット上の高額な取引などを背景に密猟事案が後を絶たないと説明した。

 

 希少種が生息する山中への監視カメラの設置や、パトロールの強化と合わせて、密猟者が持ち出しを図る空港での対策強化の重要性を強調。「奄美で監視の目が動いていることを積極的にPRしたい」として、来島者への周知や違法な持ち出しの未然防止への協力を呼び掛けた。

 

 今後は空港と行政など関係機関が連携し、規制対象となる希少種を現場で確認するための連絡体制の強化を図るという。

 

 日本航空㈱鹿児島支店奄美営業所の栄正行所長は「看板掲示や機内アナウンスなどで希少動植物の持ち出し禁止への協力を呼び掛けたい。水際対策が大事。関係者が一体となって迅速に対応できるよう取り組む」と話した。