徳之島町金見の県道でクロウサギ輪禍

2018年12月29日

輪禍被害を防ごうと、減速を呼び掛ける文書を設置する徳之島地区自然保護協議会のメンバー(提供写真)

輪禍被害を防ごうと、減速を呼び掛ける文書を設置する徳之島地区自然保護協議会のメンバー(提供写真)

 徳之島で特別天然記念物アマミノクロウサギの輪禍被害が相次いで発生している。24日には徳之島町金見の県道で1匹、27日は同町の林道山クビリ線で2匹の死骸が見つかった。同島での交通事故による死亡確認件数は今年に入って19件と2013年以降で最多。環境省徳之島自然保護官事務所は「夜間の運転は減速して、クロウサギの飛び出しに注意してほしい」と呼び掛けている。

 

 死骸は県道花徳―浅間の金見集落から手々集落側に約500メートル進んだ地点と、林道山クビリ線の花徳側から5キロ、10キロの地点で見つかった。

 

 金見では徳之島地区自然保護協議会の政武文会長が雌の成獣、山クビリ線ではパトロール中の県自然保護推進員が雄の成獣2匹を発見。同事務所が回収した。

 

 犬や猫の噛み傷がなく、鼻から出血があり、交通事故に遭ったとみられる。同事務所などによると、道路上の血痕や死後硬直など死骸の状況から、山クビリ線の2匹は別々の日に事故に遭った可能性が高いという。

 

 同事務所が開設された13年10月以降、島内のクロウサギの交通死亡事故確認件数は減少していたが、16年に前年の0件から8件に急増し、17年も横ばいの8件と多発傾向が続いていた。

 

 年末年始にかけて帰省客が増え、島内の林道通行増加が予想されることから、同協議会は28日、クロウサギの出現頻度が高い林道や農道など6カ所に減速を呼び掛ける文書を設置した。

 

 同事務所の沢登良馬自然保護官は「国や県、地元関係者らで協議している山クビリ線の利用調整の必要性を改めて実感した。クロウサギの確認数の増加や分布域が広がりに伴い事故が増えていると思うが、島民が意識すれば事故は減らせる。普及啓発を進めたい」と話した。