放し飼い、希少種に悪影響/ネコ飼養で専門家らパネル討議、住用総合支所

2018年01月27日

猫の適正飼養についてディスカッションする参加者=25日、奄美市住用総合支所

猫の適正飼養についてディスカッションする参加者=25日、奄美市住用総合支所

 猫の飼い方を考えるパネルディスカッションが25日、奄美市の住用総合支所であった。専門家らが猫の行動範囲調査結果などを踏まえて討論。野生化した猫(ノネコ)だけでなく、飼い猫や野良猫が山に入って希少動物を捕食する可能性があるとして、猫適正飼養の徹底に向けて周知啓発の強化を求める意見があった。

 

 住用町の2集落で行った行動範囲調査のうち、野良猫を北海道大大学院農学院の豆野皓太さん、飼い猫を帯広畜産大の藤井さくらさんが報告。名瀬鳩浜地区の実態を奄美野生動物研究所の塩野﨑和美さんが説明。住用地区嘱託員会の山田紘一会長、奄美ネコ問題ネットワークの久野優子代表、ゆいの島動物病院の伊藤圭子院長を含めた6人でパネルディスカッションを行った。

 

 行動範囲については▽放し飼いの猫、野良猫ともに集落だけでなく近隣の森林でも行動している▽放し飼いの猫の行動範囲は広い―などと報告があり、塩野﨑さんは「放し飼いの猫や野良猫が集落近くの希少種生息域に侵入する可能性は否定できない。希少種を保護するにはノネコだけでなく、放し飼いの猫や野良猫の対策も欠かせない」と指摘した。

 

 討論では「飼い猫について条例を制定しただけでは駄目。集落に指導員を置いて適正な飼養に積極的に取り組む必要がある」「ネコから感染する病気の問題もあり、室内飼いの必要性について周知を徹底すべき」「高齢者への周知はなかなか困難。行政が集落に足を運んで説明を」「不妊治療などにもっと行政の協力を」といった意見があった。