猛毒イソギンチャク被害 瀬戸内町の漁業男性
2019年04月27日
瀬戸内町加計呂麻島沖の海中で26日までに、同町の漁業男性(48)が猛毒を持つウンバチイソギンチャクに左手首を刺されていたことが分かった。男性は奄美市内の病院に入院中で、患部の炎症が治まるまで2週間程度掛かるという。イソギンチャクは今月、徳之島町で大量に発生しているのが見つかり、海開き前に町が駆除を実施した。奄美海洋生物研究会の興克樹会長は「他の場所でも急に発生する可能性がある。見つけても絶対に触らないでほしい」と注意を呼び掛けている。
ウンバチイソギンチャクは内湾に生息。体の表面に毒を持つ刺胞の詰まったカプセルがあり、刺激を与えると水中に分散させる。奄美近海で生息が確認されたことはあまりなかったが、徳之島町畦海岸で今月、大量に発生しているのが見つかり、1260匹が駆除された。
男性が刺されたのは24日午後2時ごろ、加計呂麻島の西側にある無人島・須子茂離の北約100メートル、水深10メートル付近で、仲間の漁業者らと追い込み漁の準備をしていたところ、サンゴ岩礁に付着していたイソギンチャクに気付かず、手をついた。
「電気が走ったみたいにびりびりした。ずっと火鉢で焼かれているように痛い。痛みで失神しそう」と男性は話す。刺されてから2日間で、手の腫れは腕全体に広がった。イソギンチャクについては「いるなあと思ったことはあるが、普段は気にしていない」。仲間の漁業者らは「存在すら知らなかった」と口をそろえた。
興会長によると、ウンバチイソギンチャクは生息場所によって色や形が変化する。畦海岸では死滅したサンゴに付着し、見分けがつきにくかったという。「刺された場合は海水で洗い流して。酢や真水は刺胞の発射を促すので絶対に使わないでほしい」と話した。見つけたときは海洋生物研究会や各市町村などへの連絡を呼び掛けている。