「聞き書き」で歴史文化継承 奄美市で指導者養成講習会

「聞き書き」の指導についてアドバイスした吉野理事・事務局長=22日、奄美市名瀬

「聞き書き」の指導についてアドバイスした吉野理事・事務局長=22日、奄美市名瀬

 地域の古老や名人から昔の生活や仕事について話を聞き、記録する「聞き書き」の指導者養成講習会が22日、奄美市名瀬の県立奄美図書館であった。NPO法人共存の森ネットワーク(東京)の吉野奈保子理事・事務局長が講師となり、「歴史や文化を継承するとともに、地域の課題を発見し解決できるような深い学びにつなげて」などとアドバイスした。

 

 講習会は「生物多様性鹿児島県戦略」の一環で、県環境林務部自然保護課主催。奄美大島の学校関係者やNPO団体、市町村職員、大島高校新聞同好会の生徒ら約50人が参加した。

 

 「聞き書き」は話し手の言葉を一字一句書き起こし、記録する手法。活動は地域の魅力を掘り起こす地元学にもつながり、奄美では大島北高校が2014年から毎年取り組んでいる。

 

 国内外で聞き書きの普及活動を展開する吉野さんは過去の事例や体験者の感想を紹介。児童生徒が聞き書きを通して身の回りの風景や物について深く考えるようになり、人と人、人と自然、世代間のつながりが生まれると述べた。

 

 活動の際は▽話し手がどんな人物なのかを最初に聞く▽話の内容が映像としてイメージできるまで細かく質問する▽仕事のやりがいなど漠然とした質問をしない―ことが大切などと助言。 「1度の体験で終わらせず、調べ、聞いたことを冊子や劇などで発表することも探求的な学びにつながる」と語った。

 

 講習に先立ち、県自然保護課の羽井佐幸宏課長が「生物多様性鹿児島県戦略、環境文化とはなにか」の題で講話した。

 

 講習には奄美大島の4高校(大島、大島北、奄美、古仁屋)も参加。大島北高の生徒たちは地元の文化財保護などに長年尽力し16年に死去した故・中山清美氏の指導で聞き書きに取り組み、17年以降も教員が指導する形で実施しているが、活動の継続が今後の課題となっている。

 

 同校の中須康文教頭(50)は「聞き手の姿勢などとても勉強になった。教員がまず学び、話し手の物語を引き出せるような指導を生徒たちへしていきたい」と話した。