島尾氏の写真51点寄贈

1944年1月1日に旅順の海軍予備学生教育部学生舎東入口前で撮影したとみられる写真。右から2人目が島尾

1944年1月1日に旅順の海軍予備学生教育部学生舎東入口前で撮影したとみられる写真。右から2人目が島尾

 奄美に縁が深く、自身の戦争体験などを作品中に描いたことでも知られる作家、島尾敏雄(1917~86年)の海軍予備学生時代の多数の写真がこのほど、鹿児島市のかごしま近代文学館に寄贈された。ミホ夫人(故人)の奄美市名瀬の自宅に保管されていたもので、いずれも奄美大島・加計呂麻島への赴任前の写真。同館によると、島尾の海軍予備学生時代の写真はほとんど知られておらず、島尾の戦争文学を研究する上で大変貴重という。

 

1944年1月30日に旅順の415部隊で知人の弟を訪ねた際の撮影とみられる写真。右端が島尾

1944年1月30日に旅順の415部隊で知人の弟を訪ねた際の撮影とみられる写真。右端が島尾

 寄贈された写真はアルバム1冊に収められていた28枚と、単独で保存されていた23枚。島尾の長男、伸三氏(73)=東京=によると、いずれも出版社に貸し出されていたもので、昨年末に返却された。「島尾文学の研究のために役立ててほしい」と寄贈したという。

 

 主な写真は、旅順(現中国遼寧省)の海軍予備学生時代(43年10月~44年2月)や、長崎県の川棚臨時魚雷艇学生時代(44年2~10月)に同期学生らと撮影した集合写真やポートレートなど。

 

 写真の多くは撮影場所や日にちが裏書きされている。旅順の学生舎などの施設も写っており、加計呂麻島に赴任するまでの間を描いた作品「魚雷艇学生」(79年発表)の描写と重なる。

 

 かごしま近代文学館の吉村弥依子学芸員は「加計呂麻島赴任前の島尾氏の行動や生活については日記を含めて詳しい資料が残っておらず、写真は戦時中の島尾の様子を克明に記す貴重な資料」と説明。写真を寄贈した伸三氏は「(かごしま近代文学館では)これまでに提供した資料も目録を作るなど丁寧に保管していただいている。写真が島尾文学の研究に役立つならば、大変うれしい」と話した。

 

 寄贈された写真は、かごしま近代文学館の常設展示で順次、紹介される。