沖永良部語「復興」を報告 教材、方言教室が波及効果 島嶼学会で横山さん

沖永良部島での言語復興の取り組みを報告した横山さん=1日、法政大学

沖永良部島での言語復興の取り組みを報告した横山さん=1日、法政大学

 島嶼(とうしょ)の可能性や課題を多角的に考える日本島嶼学会(会長・中俣均法政大学教授)の2018年次東京大会が8月31日~2日、法政大学などであった。横山晶子さん(日本学術振興会/国立国語研究所)が「奄美沖永良部島における言語復興に向けた取り組み」と題して報告。言語教材の作成や方言教室の開催に取り組んだ結果、「教室に参加した人々が子どもたちに教え始めるなど、波及効果が生まれている」と述べた。

 

 ユネスコ(国際連合教育科学文化機関)は2009年、危機言語地図を発表。沖永良部島を含む沖縄語は奄美語とともに消滅危機言語として記載された。

 

 横山さんは「言語の復興活動のきっかけを作ること」をテーマに、①講演活動②言語教材作成③方言教室の運営④ホームページ「しまむに宝箱」への掲載―に取り組んでいる。

 

 講演では▽島の言葉が消滅危機言語である▽復興は不可能ではない▽復興のためにできる活動―を話し、ウエブも活用した教材を作成。実際に方言を使う場所(方言教室)を設けた。

 

 こうした取り組みの結果、「言語継承に向けた空気が変化しつつある」と分析。教材と教室を連動させることで教室に参加した人が子どもたちに教えるようにもなった。今後は「沖永良部の活動の記録と、その影響を検証し、他地域で言語復興に取り組む人たちにも公開したい」と意欲を示した。

 

 このほか、奄美関係の報告は▽「奄美大島の高倉の現在と将来」恵原義之さん(奄美郷土研究会)▽「奄美諸島返還とは何だったのか」前利潔さん(知名町教委)▽「奄美・沖縄の世界自然遺産登録延期勧告と現時点での課題―奄美大島を中心に」宋多情さん(鹿児島大学大学院)―など。

 

 今年は小笠原諸島の返還50年。前利さんは「奄美諸島の返還(53年12月)は戦略的に重要な沖縄と小笠原の保有を前提に、奄美諸島は返還するという、米国国務省と国防省のバランスを取る形で決定された」と考察した。