生物文化の活用考える 与論で研究報告会

琉球列島の生物文化多様性に関して専門家らが基調講演、研究発表した報告会=25日、与論町中央公民館

琉球列島の生物文化多様性に関して専門家らが基調講演、研究発表した報告会=25日、与論町中央公民館

 生物文化遺産プロジェクトチーム(当山昌直代表)主催のトヨタ財団2016年度研究助成プログラム報告会「ユンヌの生物文化をかえりみる」が25日、与論町中央公民館であった。与論島をはじめ琉球列島各地に残る「生物文化多様性」の記録と継承に取り組む同プロジェクトチームの大学教授ら専門家が研究成果を報告。約50人が聴講して各地域の生物文化の特徴や意味を学び、遺産としての創出と活用の可能性を考えた。

 

 はじめに山口県立大学名誉教授の安渓遊地氏(人類学)がユンヌ(与論島)とユンイ(与那国島の15世紀の呼称)をテーマに基調講演。与論の方言では命あるもの(人間を含む動物)を指す言葉として「ヌチムチムヌ」があり、与那国にも似た単語があることを紹介。両地域の命に対する捉え方や考え方について話した。

 

 沖縄大学の盛口満教授(生物学)は「島々の植物利用」の題で報告。燃料、緑肥、繊維、非常食、建築材など植物利用の用途はどの島も共通している半面、どの植物を利用するかは島ごとに違いがあると説明した。

 

 与論ではバンシロウの実の熟れ具合で呼び名が三つに分かれていることや、魚を捕える際の魚毒として他の島で利用されていなかった植物が使われていたことなども紹介。「各島の人にとっては『当たり前』だった植物利用が総合的に集まると琉球列島の植物利用の多様性は世界でも類を見ない貴重な植物文化となる。それが『当たり前』の中で消えていく前にみんなで意識していくべきでは」と提起した。

 

 このほか琉球大学の渡久地健准教授(地理学)が「漁師に学んだサンゴ礁の知恵」、与論郷土研究会の稲田瑞穂氏が「与論の植物の題」で報告。聴講者も交えたフリートークもあった。