祖先から継いだ名に誇り/与論島「シマナー」の風習、今も日常使用

千代さん(前列中央)の91歳の誕生日に集まった親戚一同=24日、与論町

千代さん(前列中央)の91歳の誕生日に集まった親戚一同=24日、与論町

 生まれた子どもに対し、戸籍上の名と別にもう一つの名「シマナー(島名)」を付ける風習が与論島で現在も残っている。先祖を敬い、あやかる意味で祖父母や叔父、叔母などの名をつけるのが一般的。主に家族や親戚の間でシマナーを呼び合うことが多く、今でも日常的に使われている。

 

 「次はマニュとトゥクの2人による出し物だよ」「ナビ、お皿持ってきて」―。24日、与論町東区に住む菊千代さんの91歳の誕生日。長寿を盛大に祝おうと、島内や隣の沖永良部島から子や孫、ひ孫ら約30人が集まった宴の席上で、何度もシマナーが飛び交った。

 

 千代さんの息子で与論の方言や伝統に詳しい与論民俗村の菊秀史さん(60)によると、明治に戸籍法が成立し、国民の命名が「苗字と名前」の形になったため、戸籍上の名を「ヤマトゥナー(大和名)」、以前の名を「シマナー」あるいは「ヤーナー(家名)」と区別するようになった。

 

 島内では家族や親戚間に限らず、学校や地域社会でも戸籍の名よりシマナーで通っている人もいるという。

 

 シマナーには祖先の名を絶やさず、あやかる意味があり、最初に生まれた子には父方の祖先の名、次は母方と交互に付けるのが一般的。男子はハニ、マチ、トゥク、マサ。女子はタマ、マグ、ナビ、クル。男女共通の名にウシ、ハナ、チューなどがある。同名での人違いを防ぐため、会話の中では名前の上に地名や親の名を付けたりする。

 

 千代さんの孫でマニュこと菊凛太郎さん(26)は「家族や親戚はみんな私をマニュと呼ぶ。子どもの頃は特に何も感じなかったが、シマナーに込められた意味を知ってからは、祖父から継いだ名を誇らしく思うようになった」と話した。