節田マンカイ 苦渋の決断 対面、手合わせ 密避けられず 奄美市笠利町節田

2020年に開かれた「節田マンカイ」=2020年1月、奄美市笠利町節田

2020年に開かれた「節田マンカイ」=2020年1月、奄美市笠利町節田

 12日は旧正月。奄美市笠利町の節田集落(朝郁夫区長)に伝わる旧正月の伝統行事「節田マンカイ」が、新型コロナウイルス感染防止のため今年は中止となった。屋内で座った男女が向き合って歌い、手を触れ合う踊りが特徴で、接触が避けられないための「苦渋の決断」(朝区長)。奄美市では12月から感染者が相次いで確認されたこともあり、住民も「コロナの防止のためには仕方がない」と受け止めている。

 

 笠利町誌によると、節田マンカイは正月マンカイともいい、八月踊りが秋の野外の集団舞踊とすれば、冬の屋内の集団舞踊。昭和初期までは笠利全地区で踊られていたが、現在は節田集落だけに残り、2008年には県の無形民俗文化財に指定された。

 

 「マンカイ」には「招く」の意味があり、かつては男女の出会いの場でもあったという。婦人会が振る舞う地元の正月料理「アザンヤセ(アザミと豚骨の煮物)」も名物となっている。

 

 朝区長によると、ここ数年は若い世代の参加率も上がり、毎月2回の練習にも熱が入るなど継承の機運も高まっていた。また見学に訪れる観光客も増え、会場となる節田生活館は例年100人超の人出となっていた。

 

 昨年からの新型コロナの流行で、密集、密接、密閉を避ける新しい生活様式が推奨される中、例年の状況は立ち見も出るなどまさに密集状態。役所の窓口のように対面に仕切りを入れるパーテーションの設置も話題に上ったというが、「今年だけのために設置するのもどうか」と取りやめを決めた。

 

 朝区長は「対面にならないわけにもいかないし、接触しないわけにもいかない。集落には高齢者も多く、医療介護関係者や観光業に従事する人も多い。リスクを考えるとやむを得ない」と苦しい表情で語った。

 

 毎年楽しみにしてきたという畠ミサエさん(85)は「節田に昔から続く旧正月の喜びの行事。寂しいけど仕方がない。家で歌って自分なりに楽しむしかない」と節田マンカイの唄を口ずさみ、家事に取り組んでいた。