一村の奄美時代を評価 生誕110年で大矢氏講演

2018年11月05日

芸能・文化

田中一村の魅力などについて語る大矢鞆音氏=4日、奄美市名瀬

田中一村の魅力などについて語る大矢鞆音氏=4日、奄美市名瀬

 南海日日新聞社主催の「生誕110年 田中一村講演会」が4日、奄美市名瀬の集宴会施設であった。講師は美術評論家で島根県の津和野町立安野光雅美術館長の大矢鞆音氏(80)=神奈川県川崎市。大矢氏は田中一村について「抜群の才能を持った人物だった」と画家としての技量を評すると同時に、人としての魅力も紹介した。

 

 大矢氏は33年間一村を取材し、その生涯と画業を美術史に初めて位置付けた一村研究の第一人者。早稲田大学第一文学部美術学専修卒。元NHK出版取締役美術部長。父は日本画家の大矢黄鶴。主な著書は「評伝 田中一村」「田中一村―豊饒の奄美」など。県奄美パークの田中一村記念美術館の設立にも協力した。奄美観光大使も務める。

 

 田中一村は1908年7月、栃木県生まれの日本画家。50歳で奄美大島に移住し、大胆な構図と色使いで奄美の動植物や自然を描いた。没後の1984年にNHKの「日曜美術館」に取り上げられ、一躍注目されるようになった。77年に69歳で奄美市名瀬で亡くなった。

 

 講演の演題は「ゑかき 田中一村」。大矢氏は幼少期から千葉、奄美時代までの一村作品をスライドを使って紹介。一村の絵に対する情熱や頑固さをエピソードを交えて語り、「師を持ち、批評を受け入れることができていたら一村はもっと大成していただろう」と分析した。

 

 大矢氏は「奄美の豊かな植生(自然)と大島紬の染色工としての仕事があったこと」が一村の奄美時代を支え、結果的に成功に導いたと指摘。「奄美の自然を確実に具現化した作品はない。奄美が世界自然遺産に登録されれば、一村の評価もさらに上がっていくと思う」と期待した。