地域の言葉と魅力を紹介 3家族が「えらぶむに」披露 東京でワークショップ

2019年02月14日

芸能・文化

紙芝居で「方言しりとり」を披露した田代さん家族=10日、東京都立川市の国立国語研究所

紙芝居で「方言しりとり」を披露した田代さん家族=10日、東京都立川市の国立国語研究所

 「えらぶむに(沖永良部語)」をテーマにした研究会が10日、東京都立川市の国立国語研究所であった。同研究所の山田真寛准教授は言語復興の方策を提言。方言継承に取り組む和泊町国頭校区の親子3組は事例発表し、ユーモアたっぷりに地域の言葉と魅力を紹介した。

 

 同研究所などの主催。言語や沖永良部島に関心を持つ約60人が来場した。

 

 講演した山田准教授は「えらぶむに」が国連教育科学文化機関(ユネスコ)や文化庁で消滅危機言語の一つとされていると紹介。復興方策として「言語の記述と分析、記録、保存が必要。家庭内で地域の言語使用を促進しよう」と訴えた。

 

 日本学術振興会特別研究員の横山晶子さんは沖永良部島での調査を基に、「しまむに(島言葉)」の記録と継承を目的に開設したインターネットサイト「しまむに宝箱」を紹介。語彙のデータベース化や教材としての活用を呼び掛けた。

 

 小説家の中脇初枝さんは「物語の生まれる島―沖永良部島」と題し、沖永良部島を舞台にした自身の著作が生まれたエピソードなどを語った。国頭集落村づくり教育部会の福島文子さんは「しまむにの継承~国頭(くんじゃい)の取り組み」を発表した。

 

 沖永良部島から招かれた3家族は、独創的な発表。田代和花・彩羽・雅・勇太・恵さんは「方言しりとり」で、スケッチブックに描いた単語帳を元気よく読み上げた。

 

 今井響・良喜・博美・優さんは「あじとぅ つくゆぬ やせづけ(おばあちゃんとつくる大根漬け)」と題し、漬物作りの材料と工程を方言で紹介した。大栄風翠・希奄・讃一道・潮和・ひろみ・勝吾さんは「あやとぅ やまだ(お姉さんとトンボ)」と題し、身近な生物トンボと地域の自然を方言で発表した。

 

 発表を終えた3家族は「やまだぬ みーかがん(とんぼのめがね)」と「えらぶの子守歌」を合唱。国頭ヤッコも披露した。

 

 来場者からは「日本語は意志を伝えるもの、方言は心を伝えるものなのだと感じた。伝承するために私にできることから取り組みたい」「古里の言葉を忘れることは古里を忘れてしまうこと。親や先祖から受け継いだことを忘れてはならないと再認識した」などの感想が寄せられた。

在京の出身者も飛び入り参加して披露された国頭ヤッコ=10日、東京都立川市の国立国語研究所

在京の出身者も飛び入り参加して披露された国頭ヤッコ=10日、東京都立川市の国立国語研究所