奄美民謡大賞 今年で40回目 最多曲は「嘉徳なべかな節」

2019年05月04日

芸能・文化

多くのウタシャを発掘してきた奄美民謡大賞=2018年の第39回大会、奄美市名瀬

多くのウタシャを発掘してきた奄美民謡大賞=2018年の第39回大会、奄美市名瀬

 奄美民謡大賞が今年で40回目を迎える。主催する南海日日新聞社のまとめによると、1980年の第1回から昨年までの39回で歌われた曲は104曲、延べ3348回。最も多く歌われたのは「嘉徳なべかな節」で300回。次いで「くるだんど節」「俊良主節」「野茶坊節」。節回しの利いたヒギャ(奄美大島南部地域)の唄に集中しているのが特徴。今年の本選は6月15日、奄美文化センターである。

 

奄美民謡大賞の始まりは1975年、ウタシャ(唄者)を掘り起こし、育て、島唄を次代へつなごうと南海日日新聞社が主催した奄美民謡新人大会。優勝者はレコード化され、デビューする道が用意された。80年、5年続いた同大会は奄美民謡大賞となり、1992年まで存続した日本民謡大賞への登竜門となった。

 

出場者は第1回大会の26人から次第に増え、2000年の第21回大会では107人、07年の28回大会と08年の29回大会では190人に。翌年から全国6カ所で予選を開き、100人前後で本選を開いている。

 

嘉徳なべかな節は初回から人気が高く05年の26回大会(出場183人)、06年の27回(同185人)ではそれぞれ19回(人)歌われた。低音から高音へ一気に歌い上げ、高度な節回しが入るヒギャ唄の代表的な曲。歌詞は「嘉徳なべかなや 如何(いきゃ)しゃ生まれしちゃが 親に水汲(く)まち 居ちゅて浴びる」(嘉徳なべかなはどんな生まれをしたのか。親に水を汲ませて自分は居ながらに水浴びをするという)。かつては歌詞を額面通りに受け取り「親不幸の見本」とされてきたが、その後の研究で「なべかな」は神高いノロのような存在で親や集落から一目置かれた特別な存在だった、との説が有力だ。