徳之島2世、カンヌ映画祭に初招待  

2019年06月06日

芸能・文化

カンヌ国際映画祭でレッドカーペットを歩くマーラさん(横浜さん提供)

カンヌ国際映画祭でレッドカーペットを歩くマーラさん(横浜さん提供)

 先月14~25日にフランスで開催されたカンヌ国際映画祭に、徳之島2世でフィリピンの女優マーラ・ロペス・ヨコハマさん(28)が招待された。主演する映画『ANg Hupa』が「監督週間」部門にノミネートされ、初めて同映画祭のレッドカーペットを歩いた。マーラさんは「フィリピンを代表して国際映画祭に参加するのは私の喜びであり、カンヌの地に来ることができ、本当に自分は恵まれている」と喜んだ。

 

 マーラさんは徳之島町井之川の農業横浜寛さん(66)と、フィリピンの女優マリア・イザベル・ロペスさんの長女。母の影響で幼少期から芸能活動を始め、15歳から映画に出演した。2013年には同国の「シネマラヤ映画祭」で主演女優賞を獲得。15年には「あいち国際女性映画祭」からも招待を受けるなど、世界各国の映画祭に参加している。

 

 今回の主演作は、フィリピン映画界の巨匠ラブ・ディアス監督の最新作で、2034年のフィリピンを舞台にした長編作品。伝染病がまん延し、火山が爆発するなど国家が混迷を深める中、マーラさんは特殊部隊員として独裁に反対する民衆から君主を守る役を演じている。

 

 映画は映画祭初日のワールドプレミアで上映された。マーラさんは「主役を演じることは楽しかったが、台本がなく日々事前準備もできない中での撮影は難しかった。映画祭で上映された他の映画を見て勉強になり、カンヌは本当に素晴らしかった」と話した。

 

 父の横浜さんは映画祭開催期間中、徳之島で陸稲を栽培するイベントの準備で大忙し。「娘がカンヌで俳優として最高の栄誉を得る中、私は小さなイベントのため奔走していた。脚光を浴びる舞台は違うがどちらも一生懸命で、こんな愉快なことはない」と笑った。