学校存続~奄美市里親留学④

児童生徒13人中6人が留学生の久賀小中学校。子どもたちの笑い声が響き、地域を元気づけている=1月31日、長崎県五島市の久賀島

児童生徒13人中6人が留学生の久賀小中学校。子どもたちの笑い声が響き、地域を元気づけている=1月31日、長崎県五島市の久賀島

 「島にはコンビニもゲームセンターもありません。夜は車も少なく、静かな時間が流れます。不便だから…本当の自由な時間が生まれます」。長崎県五島市の離島留学制度「しま留学」の募集チラシにはこう書かれている。奄美と同様に子どもを「島の宝」として地域で見守る環境がある五島市の島々。留学生たちは島ならではの体験や人との関わりを通して、生きる力を育んでいる。

 

 長崎市から西に約100㌔の東シナ海にあり、五島列島の南部に位置する五島市は、福江島、久賀島、椛島、奈留島などの島で構成する。人口は3万7631人(2018年1月末現在)。

 

 少子高齢化、人口流出を背景に、将来の学校存続が危ぶまれた久賀島唯一の学校・久賀小中学校に16年度、3人の留学生が加わった。翌年度からは、隣島の奈留島での留学生受け入れも始まった。

 

 同市の留学制度は、留学生を日常的に預かる「常時預かりしま親(里親)」に加え、留学生を臨時的に預かる「一時預かりしま親」を登録制で設けている。常時里親の負担を軽減するとともに、一人でも多くの住民が留学生と関わる機会をつくることで、地域の人々に制度への理解を深めてもらうためだ。

 

 「しま留学コーディネーター」を各島に1人ずつ配置しているのも特徴の一つ。新規の里親登録に向けた地域での働き掛けや体験活動の企画・運営、現地見学で来島した留学希望者への対応といった業務を担う。留学生の募集対象は小学3年生から中学3年生までで、里親への委託料は留学生1人につき月額9万円(実親負担3万円、市助成金6万円)。夏と冬の長期休みで留学生が地元に帰省する際の交通費助成も行う。

 

 久賀小中では17年度、6人の留学生を受け入れた。現在、児童生徒数は13人。柳田直子校長は「地域の課題は学校の課題。職員も危機感を持って留学生の確保に努めている。留学生が入ることで地元の子どもが刺激を受け、新たな価値観を受け入れるようになった」と話す。

 

 児童生徒数が増えることで伝統行事の伝承活動が継続できるなど、留学制度の効果は大きい。他方で、島で盛んだった漁業は衰退し、人口は300人台にまで減った。今後も里親を確保し続けられるかは不透明だ。

 

 久賀島出身で同校の校長を務めた経験がある島コーディネーターの坂本泰蔵さん(65)は「里親留学だけでは長年学校を存続させるのは難しい」と指摘。豊かな自然環境や歴史的文化財といった観光資源を活用した地域振興の必要性を訴え、「家族での移住を促す取り組みが重要」と強調する。

 

 坂本さんは生まれ育った古里の行く末を心配しながらも、子どもの笑い声が地域に響く現状には喜びも感じている。仲良く下校する子どもたちの姿を見て坂本さんがつぶやいた。「数年前まではこんな光景は見られなかった。やっぱり子どもは地域を元気にしてくれる宝ですよ」