「息子の存在感じた 」安堵の涙、再発防止訴え 調査報告受け父親会見 奄美中1指導死

2018年12月12日

子ども・教育

息子が自殺した経緯を振り返り涙を流す父親=11日、鹿児島市の県庁記者クラブ

息子が自殺した経緯を振り返り涙を流す父親=11日、鹿児島市の県庁記者クラブ

 「息子の存在感じた」―。奄美市立中学校の1年だった男子生徒=当時(13)=が2015年11月に自宅で自殺した問題を巡り、「担任教諭の不適切な指導が原因」とした第三者委員会の報告を受け、父親(40代)が11日、鹿児島市で会見した。「(息子の名誉を)守ってあげられた」と安堵(あんど)の涙を浮かべた一方、「これで終わりではない。学校、市教委は真摯(しんし)に受け止め再発防止を」と訴えた。

 

 報告書によると、男子生徒は15年11月4日、同級生に嫌がらせをしたとして担任教諭から指導を受け、同級生に謝罪。下校後、担任教諭が家庭訪問に来た後、遺書を残して自宅で自殺した。

 

 報告書の中で第三者委は「『嫌がらせ』や『いじめ』と認定するのは困難」とした。

 報告書について父親は会見で「ほっとした」。そして「小さい頃から『人には迷惑を掛けるな』と教えてきた。息子は少しふざけたり、ちょっかいを出したりすることはあっても、いじめはしないと信じていた」と続けた。

 

 第三者委は自殺の原因を「担任教諭の不適切な指導」と指摘。担任教諭は家庭訪問時、男子生徒に「誰にでも失敗はある」と話した。同委は、この言葉により男子生徒が「これが失敗なら、もう死ぬしか責任を果たせない」と精神的に追い詰められたと分析した。

 父親は「息子は同級生を遊びに誘うなど努力をしていたが、信頼する先生に裏切られ、諦めるしかなかったのかもしれない」と悔しさをにじませた。そして「息子はまっすぐ生きただけなのに」と声を絞り出した。

 

 「日常から突然息子がいなくなる。こんなに苦しいことはないし、一生晴れることはない。子どもの自殺をなくすため、自分なりに努力をしていく。息子に負けず、まっすぐ生きたい」とも語った。

 

 9日に第三者委が調査報告書を市に提出して以降、市や市教委から遺族に直接連絡はなく、「問題に向き合っているとは思えない」と父親。「市教委や学校は報告を真摯に受け止め、提言を確実に実行してほしい」と訴えた。