不登校児童生徒の居場所に 与論にフリースクール開設 「自然」「人」「食」を活動テーマに

2020年06月29日

子ども・教育

自然体験を楽しむ児童ら=26日、与論島

自然体験を楽しむ児童ら=26日、与論島

 与論島に今年度から、不登校の児童生徒らの居場所づくりを目的としたフリースクール「ジャパンクリエイティブスクール(JCS)」(酒匂秀樹代表)が開設された。現在は与論町内の小学生3人が通う。酒匂代表(48)は「子どもたちを一人ぼっちにしたくないという思いで立ち上げた。不登校の児童生徒がフリースクールでたくさんの人と出会い、視野を広げて成長していってほしい」と語る。

 

 JCSは同町麦屋にあり、酒匂代表の父親がそろばん教室を開いていた建物を改装した。「自然」「人」「食」の三つを活動テーマに掲げ、敷地内には畑や自然体験ゾーンもある。スタッフはボランティアを含め5人。小中学生が対象で、1月から試験的に児童生徒を受け入れてきた。4月に開校したが、新型コロナウイルスの影響で、ゴールデンウイーク明けから本格的に活動を開始した。

 

 活動日は月、水、金の週3日で、午前10時から午後3時まで受け入れている。児童生徒らは、畑を耕したり、木の上に秘密基地を造ったりして、自然の中で元気に活動している。昼は一緒にみそ汁とおにぎりを作り、食事と会話を楽しむのが日課だ。

 

 ほぼ毎回活動に参加している男子児童は「スクールに通うようになって、たくさん外で遊ぶようになった」と笑顔で話していた。

 

 心理カウンセラーでもある酒匂代表は「心の教育を求める子どもたちは全国各地にいる」と指摘。島外の不登校児の受け皿となることも視野に体験プログラムの開発も進めているという。

 

 活動資金集めと情報発信を目的に6月26日まで、インターネットを介して資金を募るクラウドファンディングにも挑戦。約1カ月半で目標額350万円を上回る389万5千円が集まり、支援者は292人に上った。

(沖永良部総局)

 

 「多くの支援に感謝の気持ちでいっぱい」と酒匂代表は手応えを感じながらも「学習支援などスクール運営の課題はまだまだ多い」と話す。集まった資金の一部でタブレット端末の購入を計画しており、「学校や教育委員会に連携を呼び掛け、子どもたちを学習面からもサポートできる体制を構築したい」と語った。