奄美市教委、19年度内に自殺再発防止策

2019年05月08日

子ども・教育

奄美市の男子中学生自殺を受け市教委が設置した再発防止検討委員会の初会合=7日、奄美市名瀬

奄美市の男子中学生自殺を受け市教委が設置した再発防止検討委員会の初会合=7日、奄美市名瀬

 2015年に奄美市の公立中学1年の男子生徒=当時(13)=が自殺した問題で、市教育委員会は7日、再発防止検討委員会を設置し、奄美市役所で初会合を開いた。19年度内に再発防止策をまとめて市教委に提案することなどを確認した。市教委はその提案を市独自の指針とし、市内の小中学校に配布した上で公表するとしている。

 検討委は大学教授や弁護士、公認心理士、PTA、学校関係者ら10人で構成。委員長は鹿児島大学大学院教育学研究科の假屋園昭彦教授(教育心理学)が務める。本年度中に5回をめどに会合を開き、当時の学校や教育委員会の対応を検証し、生徒指導の在り方やいじめ防止へ向けた取り組みなどについて協議する。

 会合の冒頭、出席者全員で男子生徒に黙とうをささげた。要田憲雄教育長はあいさつで「(男子生徒に対し)衷心より哀悼の意を表し、遺族に心よりおわび申し上げたい。検討委員には再発防止へ向け、忌憚ない意見をお願いする」と述べた。

 協議は非公開。市教委によると、事務局(市教委)が男子生徒が自殺した経緯や、学校と市教委の事後対応などを市の第三者委員会が18年12月に市に提出した報告書を基に説明。今後の協議の進め方などについて意見を交わした。

 会合後の記者会見で、假屋園委員長は「再発防止が本委員会の狙い。委員の共通理解ができ、意義のある会合だった。学校や家庭、地域が実践できる提案を今後していきたい」と語った。

 要田教育長は「公正、公平な立場で事案を検証できる委員に集まってもらった。会合の内容によっては遺族や第三者委からも意見をお伺いしたい。検討委員会の協議を基にして、遺族に(死亡事案について)直接説明したい」と話した。

 第三者委は報告書で男子生徒の自殺の原因を「担任教諭の不適切な指導と家庭訪問」とし、学校側の生徒指導を中心とした生徒への関わり方に問題があると指摘。市教委が自殺の翌日に(自殺の)経緯を「いじめ」と断定した事後対応なども問題視し、市教委に主体的な検証を求めていた。

 遺族側も4月、第三者委の報告書が指摘した自殺原因や事案発生後の学校側、市教委の対応の問題点に対する教育長の見解を示した上で、責任の所在と内容を記者会見などで公表するよう求めた。検討委に対して遺族ら当事者の委員任用も要望していた。