諸鈍、油井小中で伝統芸能 集落住民ら元気づける 行事中止も児童ら披露 瀬戸内町

2020年11月02日

子ども・教育

ユーモラスな面を付け大人顔負けのリズム感と手踊りで「諸鈍シバヤ」を披露した男子児童生徒=1日、諸鈍小中学校

ユーモラスな面を付け大人顔負けのリズム感と手踊りで「諸鈍シバヤ」を披露した男子児童生徒=1日、諸鈍小中学校

 新型コロナウイルスの影響で各集落の年中行事が中止となる中、瀬戸内町の諸鈍小中学校(大山博司校長、児童生徒18人)と油井小中学校(迫田智志校長、児童生徒8人)の児童生徒は1日、学習発表会で集落に伝わる「諸鈍シバヤ」と「油井の豊年踊り」を披露し、住民らを元気づけた。

 

 加計呂麻島の諸鈍小中学校(大山博司校長、18人)の学習発表会では、新型コロナウイルスの影響で中止となった大屯(おおちょん)神社祭の国指定重要無形民俗文化財「諸鈍シバヤ」の演目を児童生徒らが元気に披露した。

 

 諸鈍シバヤは例年旧暦の9月9日(今年は10月25日)に奉納される。同校の児童生徒は、中止となった伝統芸能を学習発表会で披露し集落の人々を元気づけたいと「キンコウ節」と「カマ踊り」の2演目を踊った。

 

 小学1年生の男児から祭り本番に出られるということで今年のデビューを「夢に見ていた」という諸鈍小1年の吉川海馳(みち)君(6)は「保育園の時から諸鈍シバヤが大好き。来年はお祭りに出たい」と話した。諸鈍シバヤ保存会の吉川久也会長は「毎年途切れないように、せめて学校ででも踊る機会があってよかった。子どもたちの踊りは完璧」と目を細めていた。

 

 油井の豊年踊りは県の無形民俗文化財に指定され、旧暦8月15日(今年は10月1日)に披露される。油井小中学校の児童生徒は豊年祭や町子ども島口芸能大会などで毎年踊りを披露してきたが、今年はコロナ禍で中止となり学習発表会が唯一の場となった。

 

 児童生徒は12演目で構成される踊りの中から▽舞台となる土俵を払う「土俵払い」▽女性が脱穀の様子を表現する「稲すり」▽土俵見舞いをする観音翁の無言劇「ヒゲフッシュ」▽座頭が川を渡る様子をユニークに演じる「ガットドン」│の4演目を発表。大人顔負けの演技で会場は大きな拍手に包まれた。

 

 初めて踊りに挑戦した小学1年生の田畑結愛さん(7)は「大変だったけど練習通りできた。次は三味線をやってみたい」と笑顔。生徒会長で中学3年生の岡野真和さん(15)は「いつもより声が出せていたし、三味線も息の合った演奏でよかった。練習時間は短かったけど、昨年を思い出しながらより良い演技を心掛けた。完璧だったと思う。やり切った」と話した。

 指導に協力する油井豊年踊り保存会の岡野弘明会長は「年上の子が年下に一生懸命に教える姿が見られたことがとてもうれしかった。それが大事。衣装も着けて様になっていたし、練習の成果が出ていた」と喜んだ。

油井豊年踊りを披露する児童生徒=1日、油井小中学校

油井豊年踊りを披露する児童生徒=1日、油井小中学校