瀬戸内町、大型クルーズ船誘致を断念

大型クルーズ船寄港地開発計画の誘致断念を発表する鎌田愛人瀬戸内町長=23日、同町役場

大型クルーズ船寄港地開発計画の誘致断念を発表する鎌田愛人瀬戸内町長=23日、同町役場

 瀬戸内町が同町西古見への誘致を検討していた大型クルーズ船寄港地開発計画について、鎌田愛人町長は23日、「同計画による地域振興策の実現や、住民感情等も含めた受け入れのための条件を整備することは困難」とし、誘致を断念すると発表した。

 

 町役場で記者会見した。鎌田町長はクルーズ船寄港地に関する検討協議会(委員長・宮廻甫允鹿児島大学名誉教授)から今月10日に提出されたクルーズ船寄港地の在り方についての提言書を、「真摯(しんし)に受け止め、今後のクルーズ観光の基本姿勢とすることは当然」とした上で、「現在進めている西古見への誘致計画は町内の合意形成が不十分な状態にあり、提言内容を順守して進めるには長期の時間を要する。そのような状況の中で議論することは好ましくないという私の判断」と断念を決断した理由を述べた。

 

 今後の西古見集落を含めた町の振興策については「町長期振興計画を着実に実現していくことが重要と考えている。西古見集落の皆さま方には現状を憂い、(クルーズ船誘致の)要望をいただいていたが、大変申し訳なく思っている。西古見には素晴らしい自然、貴重な戦争遺跡がある。これを活用し、住民と話し合いながら活性化に努力していきたい」と述べた。

 

 県には20日に誘致断念を連絡し、県からは「町の判断を尊重する」との回答があったという。

 

 同日夕には鎌田町長自ら西古見集落に出向き、誘致断念を報告した。茂節子区長は南海日日新聞社の取材に対し「町長の決断を受け止める。私たちは集落を何とかしたいと考えて要望書を出したが、町長はいろんな意見を総合的に判断くださったのでしょう。今回の件で西古見に注目していただいたので、今後も目を向けていただきたい」と話した。

 

 同計画は2017年8月、国の「島嶼(とうしょ)部における大型クルーズ船の寄港地開発に関する調査の結果」公表を受けて動きだした。町は独自に調査を進め、町内3カ所の候補地の中から、西古見・池堂地区を最適地と判断し、誘致に名乗りを上げた。

 

 一方、町民への説明不足などを背景に、町内外で誘致に反対する団体発足や署名活動の動きが広がった。誘致の賛否で対立の構図ができ、事実に基づかない情報が錯綜(さくそう)するなどして町は混乱した。

 

 クルーズ船寄港地に関する検討協議会は町内各種団体代表や学識経験者など19人で18年10月に発足。5回の議論を重ね、鎌田町長に▽環境保全と産業振興を図る専門家の意見を踏まえた対策の検討▽環境許容量を踏まえた観光管理計画の策定―など7項目にわたる提言書を提出していた。