申し立てを却下 住民側、即時抗告へ 陸上自衛隊駐屯地

鹿児島地裁の決定に「不当決定」と書かれた紙を掲げる城村さん=27日、鹿児島市の鹿児島地裁前

鹿児島地裁の決定に「不当決定」と書かれた紙を掲げる城村さん=27日、鹿児島市の鹿児島地裁前

 【鹿児島総局】防衛省が奄美大島で計画している陸上自衛隊駐屯地の配備を巡り、住民32人が建設差し止めを求めた仮処分について鹿児島地裁は27日、申し立てを却下する決定をした。上田洋幸裁判長は住民側が訴えた平和的生存権や環境権を具体的権利として認めなかった。監視施設のレーダーが発する電磁波は「具体的な危険まで認められない」と判断した。住民側は決定を不服とし、即時抗告を検討している。

 

 住民側は有事の際に標的となる危険性が高まり、平和的生存権が侵害されると訴えていた。建設地には希少な動物が生息しているとし、自然が壊されるとも主張。国側は国防上の必要性を強調し、却下を求めていた。

 

 決定は平和的生存権、環境権とも「憲法や実体法上の根拠がない」として具体的な権利を認めなかった。一方、駐屯地の建設で他国から攻撃される危険は切迫しないと指摘。防衛省の環境保全策を挙げ、住民が主張する環境権が侵害される具体的危険はないとも判断した。

 

 住民が「国の基準では安全が守られない」と訴えた電磁波の影響について、国側が安全の根拠とする法的な基準は合理的だと結論付けた。

 

 住民代表の城村典文さん(65)=奄美市=は決定後、記者会見し、「環境権を扱う審理で国側の主張が防衛省に偏っていることが問題だ。環境行政の在り方に疑問を感じる。このままでは平和も守れない」と批判した。