県20年度当初予算案 自然遺産関連2.6億円

 県は12日、2020年度当初予算案を発表した。奄美関係では、今年夏の実現が期待される世界自然遺産登録に向けた取り組みに総額約2億6200万円を計上。自然環境の保全と利用の両立や、登録に向けた機運の醸成に取り組む。奄美群島振興交付金を活用した「航空・航路運賃軽減事業」や「農林水産物等輸送コスト支援事業」なども継続する。

 

 世界自然遺産登録関連では、「生態系保全のためのICT(情報通信技術)を活用した密猟等対策事業」を新規に盛り込んだ。奄美大島と徳之島に生息・生育する希少野生動植物の画像データを収集し、画像を認識する人工知能(AI)などを活用して不法な持ち出しなどへの迅速な対応を目指す。一つの種に対し約300の画像が必要とされ、20年度はデータの収集を進める。

 

 「世界自然遺産『奄美』保全・活用事業」として、世界自然遺産奄美トレイルの推進や自然遺産登録の可否が決まる世界遺産委員会(中国・福建省で開催予定)のパブリックビューイング、自然環境に配慮した公共事業などに取り組む。

 

 トレイルは20年度内に新たに3ルート(奄美市笠利町、龍郷町、瀬戸内町の加計呂麻島・請島・与路島)が加わり、群島全14ルートが開通する。世界遺産委員会をライブ中継する会場は、奄美大島、徳之島、鹿児島市内の3カ所に設ける方針。

 

 自然遺産関連では、屋久島と奄美への観光客などを誘客する「2つの世界自然遺産周遊促進事業」や、奄美大島の自然遺産核心地域内の希少動植物調査を含む「未来へつなごう鹿児島の生物多様性推進事業」も盛り込んだ。

 

 航空・航路運賃軽減事業は総額11億2071万円。奄美群島住民やその扶養を受ける出身学生らを対象に移動コストの負担軽減を図る。農林水産物等輸送コスト支援事業には6億9799万円を計上。引き続き本土と比べ割高となっている農林水産物などの輸送費の一部を助成する。

 

 奄振交付金のうち、地元市町村の裁量に基づく産業振興などの取り組みを支援する成長戦略推進交付金には7億5千万円を計上した。

 

 道路整備関係では、国道58号おがみ山バイパス事業の再開に向け、昨年度に続き家屋の移転補償費の算定作業を進めると同時に、用地買収に入る方針。主要地方道名瀬・瀬戸内線の奄美市名瀬根瀬部│大和村国直間のトンネル工事は、20年6月までに本体工事を完了する見通し。

 

 空港整備では、奄美空港と徳之島空港の滑走路の端に整備する安全区域の拡張に必要な測量に着手するとともに、喜界空港で滑走路の舗装改修工事などを実施する。