観光シンボル復活へ 諸鈍デイゴの治療開始 瀬戸内町加計呂麻島

深紅の花が海岸線を染めるデイゴ並木=2017年5月、瀬戸内町諸鈍

深紅の花が海岸線を染めるデイゴ並木=2017年5月、瀬戸内町諸鈍

 瀬戸内町が町文化財に指定している加計呂麻島諸鈍のデイゴ並木について、同町は8月、害虫被害などで衰えた樹勢を回復させる治療を開始する。町の委託した樹木医が、デイゴの健康状態に関する調査結果を踏まえて治療に当たる。町の担当者は「町の観光のシンボル。子々孫々まで残していけるように回復させたい」と述べた。

 

 諸鈍のデイゴ並木は、最も古い木は樹齢300年余りといわれ、開花期の5月ごろには深紅の花が海岸線を染める観光名所。映画「男はつらいよ」のロケ地としても知られる。

 

 2008年にデイゴに寄生する外来種の害虫デイゴヒメコバチによる被害が初確認され、衰弱や枯死などで85本あったデイゴは65本まで減った。町は薬剤を根元にかける土壌かん注などの防除対策を進め、樹勢は徐々に回復しつつある。

 

 町は2019年度、県の特定離島ふるさとおこし推進事業の採択を受けて諸鈍デイゴ並木樹勢回復事業を実施する。事業費は約1570万円。㈱木風(東京都江東区、後藤瑞穂代表取締役)に委託。土壌改良と樹木の根に共生する菌を使って生育を促す治療や、小型無人機による薬剤散布、専門家による剪定(せんてい)作業を行う。1日に住民説明会を開き、2日に治療に着手する。

 

 同社は18年度、町の委託でデイゴの健康状態を調査した。樹木医の片岡日出美さんは「隣接する護岸工事の影響と、老木化、デイゴヒメコバチの運ぶ菌によって弱ってきていた」と分析。「継続的な治療で樹勢を回復させ、昔のように散策路が赤いじゅうたんでいっぱいになるようにしたい」と話した。

 

 瀬戸内町立図書館・郷土館の重村一人館長は「少しずつ回復しているが、年によって咲いたり、咲かなかったりする」と話し、「枯れ枝が折れて事故につながる恐れもある。観光客や地域住民への安全確保も含めて対策を進めたい」と話した。