観光客増想定し取り組みを 輪禍防止で必要性記載 県の生物多様性戦略

生物多様性戦略中間評価案の内容や目標数値などについて意見交換した検討会=4日、鹿児島市の県庁

生物多様性戦略中間評価案の内容や目標数値などについて意見交換した検討会=4日、鹿児島市の県庁

 【鹿児島総局】生物多様性鹿児島県戦略中間評価検討会(座長・船越公威鹿児島国際大学教授、委員7人)の会合が4日、鹿児島市の県庁であり、昨年12月の初会合での委員の意見などを踏まえて県が作成した中間評価案が示された。交通事故などによるアマミノクロウサギの死亡減に向け、観光客の増加に伴う影響も想定した取り組みの必要性を記載。生物多様性保全の推進に向けて、言葉だけでなく理念の理解度浸透の必要性も盛り込んだ。

 

 県の生物多様性戦略は「新たな自然と共生する社会の実現」を基本目標に、2013年度に策定した。5年後の節目である本年度は推進状況などの中間評価を取りまとめる。生物多様性の認知状況や希少野生動植物の保護など10項目で目標数値を設定し、今後の施策に反映させる。

 

 評価案によると、生物多様性という言葉の認知度は県民200人へのアンケート(18年5月)の結果、37%(23年度までの目標値80%)。委員からは「理念や内容について、学校現場で児童生徒に理解を深めさせることが重要。長期的には、県民への波及も期待できる」との声があった。

 

 交通事故や他の生物の捕食によるアマミノクロウサギの年間死亡数は、17年度は54匹(交通事故34匹、捕食20匹)の死亡個体を確認。県は23年度の死亡個体確認数の目標値を年間2匹に設定している。

 

 前回の会合では委員から「生息数の増加や生息域の変化による事故増も考えられる。これまで以上に効率的な対策が必要」との意見もあった。これらも踏まえて県は、観光客増に伴って予想される輪禍(ロードキル)が見込まれるとして、事故防止へ効果的な取り組みを盛り込む。

 

 評価案は、奄美大島と徳之島の世界自然遺産登録への推薦書再提出などにも触れており、希少種保護や外来種対策、環境配慮型の公共事業推進など県の姿勢も記載。庁内の関係課で構成する戦略会議で了承し、本年度内に公表する。