2021新春インタビュー 地方回帰の流れ捉えたい 塩田康一・鹿児島県知事

さしかえ・塩田知事インタビュー写真 丸山 ―知事就任5カ月、2020年の総括を。

 

 「(20年7月の)知事就任後、真っ先に取り組んだ大きな課題は新型コロナウイルス対策。県民の安心安全を守るため、医療体制の確保や検査充実を図り、各事業者による感染防止対策への支援などを進めた。経産省出身として安全安心と経済との両立も重視し、各需要喚起策や経済政策にも力を入れた。新型コロナに加え、大規模災害や鳥インフルエンザ対策など目まぐるしい1年だったように思う。ほかには、2023年の鹿児島国体開催決定も印象に残った」

 

 ―新型コロナ対応、自己評価は。

 

 「各地でクラスター(感染者集団)発生も確認されており、警戒すべき状況が続いているとの認識に変わりはない。特に離島については与論島で2度、徳之島でも1度クラスターが発生した。医療体制が脆弱(ぜいじゃく)な中で、島民の安心安全確保のために、島外、県本土への搬送体制も維持できたと思う。経済対策については、政府の『Go To トラベル』が一時停止となっているが、再開後は早期の需要喚起策を進めたい」

 

 ―21年は現行の奄美群島振興開発特別措置法の折り返しとなる。奄美群島の振興に対する考え方は。

 

 「次期奄振について現時点ではっきりしたことは言えないが、奄美という地域を考えた時に、本土と比べた条件不利性や格差といったものは依然として残っており、振興への取り組みは重要。群島内の人々の暮らしを支える観点から、これまで同様に条件不利性の解消に向けて対応しなくてはならない」

 

 ―具体例を挙げるならば。

 

 「例えば、情報通信基盤整備の部分では高速大容量通信の5Gへの対応などが重要。情報基盤の整備とも関連する部分が大きい教育や医療、物流などの拡充もしっかり考えていきたい。昔からの課題となっている台風などの災害対策についても、同じく重要課題と位置付けて取り組む」

 

 ―鹿児島国体は23年の開催が決まった。今後の取り組みは。

 

 「まずは、県民の機運醸成とともに、選手の発掘や育成強化に向けて競技団体の関係者と相談しながらの対応が必要。運営面では新型コロナウイルスへの対応も考えなくてはならず、東京オリンピックやパラリンピック、三重、栃木での国体開催も参考にしながら準備を進める。24年に佐賀県で開かれる第1回国民スポーツ大会と合わせて、九州で2年連続の開催となることから『双子の大会』と位置付けており、佐賀県とも今後、交流を深めていく。いろんな面で県民に希望を与えるような素晴らしい大会を目指す」

 

 ―21年はどのように県政を進めるか。奄美関連のトピックを含めて新年の展望、抱負を。

 

 「奄美関係のトピックでは、世界自然遺産登録の可否を決める国連教育科学文化機関(ユネスコ)の世界遺産委員会が6月末から7月にかけて中国で開かれる予定。本来は20年の開催が予定されていただけに残念な思いをした県民も多かったと思う。県としても登録の実現に向けて全力を尽くす。県政全般では、県民の暮らしを支える産業の振興や基盤づくりに取り組む。新型コロナの影響で都会からの地方回帰の動きも見られる中、情報基盤をベースにしたリモートワーク拡大など、時代の流れを捉えた施策を進めていきたい。地域のコミュニティーの中で、人々がつながりや絆を感じられるような県政推進に努める」